柏木:橘川先生は、日本のエネルギーのベストミックスをどのようにお考えでしょうか。
橘川:原発停止による代替火力用燃料費が膨れあがり、毎年の国費流出は3.8兆円になるという試算があります。人口で割ると、赤ちゃんも含めて国民1人当たり3万円を超える負担になるわけです。そうなるとやはり、規制基準をクリアした原発を再稼働させるという選択肢は、当然のことながら真面目に考えなくてはいけないでしょう。
しかし、そこからが問題です。まず自民党に、ベストミックスに関する明確なイメージを出していただけなかったのは残念でした。国民からすれば、よく分からないんですよ。原発の再稼働が、「以前に戻る再稼働」なのか「減り始める再稼働」なのかが不明瞭なのです。与党である自民党は、参院選で、このことを国民に示す必要があったのだと思います。
佐藤:原発再稼働は、有識者で構成される規制委員会で独立してご判断いただくことになっております。自民党の方向性としては当然、経済界や国民生活においてエネルギーの安定供給の道筋が途絶えて、過度に影響を及ぼすことは避けなければならないという考えです。そうした意味では、新しい安全基準を満たすと評価が下された原発については順次、再稼働をご判断いただくということについて、全く否定はしておりません。

「これからの日本のエネルギーとスマートコミュニティへの期待」をテーマに議論する、左から柏木孝夫・東工大特命教授、佐藤ゆかり・経産大臣政務官、橘川武郎・一橋大教授
柏木:私個人としては、分散型電源のあり方が非常に重要になると考えています。現時点で、総電力量における分散型電源が占める割合は、キロワット時ベースで4%でしかありません。96%が大規模集中型の電源で賄われていて、3%がコージェネ、1%強が太陽光や風力、地熱、バイオマス、中小水力などです。この分散型電源を3割まで拡大するためには、まずオーバースペックになっている大規模集中型の稼働率を上げる。その分、老朽火力発電を分散型に置き換える。これにより、今まで以上にコージェネの導入機会が増えるはずです。
橘川:全く同感です。昨年あれだけ議論した基本問題委員会で、原発の割合を示した3つの案が出たわけですが、いずれの案でも実績値3%だったコージェネを15%にするという点で一致していました。この点は、忘れてはいけない大切なポイントです。ところが、民主党政権では、分かり難いという理由で、国民的議論にかける際に、コージェネを火力の中に紛れ込ませたりしたものだから、コージェネを15%に拡大するという話が国民には、ほとんど伝わりませんでした。
柏木:基本問題委員会では、原発の是非にかかわらず、分散型ネットワークの構築は重要課題だという認識でコンセンサスがとれていたと、私は理解しています。そして、コージェネを2030年までに現状の5倍にまで増やすという目標を立てていました。これは大変な目標ですが、ビジネスチャンスの広がりも大いに期待できます。民主党から自民党に政権が変わっても、この方向性は継承されると考えてよろしいでしょうか。
佐藤:当然ながら、コージェネについても、ベストミックスの選択肢の1つとして、増やしていかなければならないと考えます。すでにそれを推進する支援策も設けておりますし、予算や税制措置なども加え、まさに今、進めている最中です。