スペシャルリポート

政府主導で国際標準化戦略を強化し
日本のスマートコミュニティを世界へ

国際標準化戦略の強化で成長戦略につなげる

柏木:スマートコミュニティの構築にあたっては、誰が先導役になれば良いと思われますか。

橘川氏は、「スマートコミュニティの構築には、やはりエネルギーの会社がある程度、担っていくべき」と話す
橘川氏は、「スマートコミュニティの構築には、やはりエネルギーの会社がある程度、担っていくべき」と話す

橘川:2006年からずっとお付き合いしている釜石市のプロジェクトの経験で言えば、ガス会社がすごく重要だと思うんですよね。都市ガスで200社ほど、LPガスだと2万社ほどあって、それが良いかどうかは別にして、系統と分散型が混在している。一方、電力の方は10社で、地域ごとに系統は1つだけしかありません。

 スマートコミュニティの構築には、やはりエネルギーの会社がある程度、担っていくべきだと思います。統括して仕切っていけるのは、ガス会社ではないでしょうか。もちろん、行政も大事ですが、ガス会社が果たす役割が非常に大きいと思います。

佐藤:経済産業省としても、スマートコミュニティは力を入れている施策の1つです。全国4都市で実証事業も進めています。

 被災地については、白紙の状態からスマートコミュニティを含めた復興の青写真を机上で描ければよいのですが、実際はなかなか容易ではありません。住民の方々から色々な意見が出てきまして、その合意形成が難しい。スマートコミュニティの構築には、初期投資コストがかかりますので、そのあたりの費用負担をどのように被災地のみなさんが負担していくのかなど、詰めていかなくてはいけないポイントが多くあります。

 ただ、先生方がおっしゃられた通り、スマートコミュニティは非常にポテンシャルが高く、推進するメリットはありますので、課題を1つ1つクリアしていきながら前進させていくことが重要であると思います。

柏木:スマートコミュニティに関しては、将来のシステムインフラ輸出も期待されていて、その国際標準化も重要な課題です。日本は国際標準化戦略に弱いといわれてきましたが、この取り組みの強化に関して、政府ではどのようなお考えでいらっしゃるのでしょうか。

佐藤氏は、「HEMSによるスマートハウスのみならず、MEMSによるスマートマンションも、爆発的な拡大のチャンスがあるターゲットの1つ」と話す
佐藤氏は、「HEMSによるスマートハウスのみならず、MEMSによるスマートマンションも、爆発的な拡大のチャンスがあるターゲットの1つ」と話す

佐藤:これまでも日本は、国際標準化を重点分野として取り組んできましたし、今後も強化していく方針です。スマートコミュニティについては、新エネルギー関連やメーター類などの規格をまず国内で標準化する必要があります。

橘川:国民にあまり知られていない国際的に大きな動きが2つあります。1つは、LP(液化石油)ガス。その多くは、実は天然ガスの生産時に併せて得られます。米国のシェールガス革命に伴って、「シェールLPG革命」のような現象が起きています。中東依存度は、天然ガスが2割に対して、LPガスは8割で、米国からLPガスを輸入すれば、大変インパクトが大きい。これまでサウジアラビアなどの産油国から一方的に価格が決められていたのですが、日本がシェールLPGを買い始めたことによって、これが国際的に揺らぎ始めています。絶好のチャンスと言えるでしょう。

 もう1つは、石炭火力です。日本の石炭火力発電技術を海外へ持っていけば、地球上の二酸化炭素を劇的に減らせます。二酸化炭素排出量の削減成果を日本と移転先各国との間で配分する「2国間オフセット・クレジット方式」についても、国際的にかなり認められ始めています。

柏木氏は、「街全体でエネルギーや水、交通や物流、医療、情報などを統合的に最適制御するスマートコミュニティは、あらゆる業界が参画できるプロジェクトで、日本の大きな成長戦略につながることは間違いない」と話す
柏木氏は、「街全体でエネルギーや水、交通や物流、医療、情報などを統合的に最適制御するスマートコミュニティは、あらゆる業界が参画できるプロジェクトで、日本の大きな成長戦略につながることは間違いない」と話す

柏木:日本が開発した「ECHONET Lite(エコーネットライト)」という、スマートハウス向け通信言語も、ISO規格およびIEC規格として国際標準化されました。ぜひ今後も、そうしたかたちで他国と連携したフレームワークをもって、政府が主導しながら国際的な標準化を進めていければと思います。

佐藤:HEMS(住宅エネルギー管理システム)によるスマートハウスのみならず、MEMS(マンションエネルギー管理システム)によるスマートマンションも、爆発的な拡大のチャンスがあるターゲットの1つだと思います。集合住宅は波及効果が大きいので、そうしたところも着目していくべきと考えます。

柏木:コージェネが要となり、自然エネルギーを最大限取り込めるスマートコミュニティは、街全体でエネルギーや水、交通や物流、医療、情報などを統合的に最適制御します。あらゆる業界が参画できるプロジェクトであり、日本の大きな成長戦略につながることは間違いありません。今後、私たちもエネルギーの専門家として色々なビジョンを打ち立てて、それを政治家の方々によって法的にバックアップする決断をしていただけるように、最大限の努力をしていきたいと思います。

 
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