スペシャルリポート

エネルギーソリューションビジネスと
コージェネレーション<前編>

稼働率の低い大規模電源は脱落、分散型がそれを補う

 自由化以前、電力会社は停電なしに安定的に電力を供給することを主眼に置いていました。「需要ありき」でピークに合わせて電源を開発した結果、たとえば大手の電力会社は年間稼働率わずか1%の電源を全体の7.5%も持つ事態に陥っていました。

 稼働率1%の電源を7.5%所有することがいかに非効率か。運送会社になぞらえて考えれば、すぐにわかります。100台のトラックを持つ運送会社があるとします。そのうち、1年間で3~4日しか動かないトラックを7~8台も所有し、いつでも必要な時に動かせるよう運転手をつけ、保険に入り、整備をし続けていたとしたらどうでしょう。この会社の経営が苦しくなるであろうことは誰の目にも明らかです。

 といっても、従来の電源立地のやり方が間違っていたわけではありません。工業国家をつくり上げる過程においては、需要ありきで大規模な電源を開発する方が安定的かつ安価な電力を供給することができ都合がよかった。こうして大規模電源を開発してきたからこそ、日本は世界でも有数な工業国家になり得ました。

「デジタル革命後に自由化し、新しい時代のエネルギービジョンを描く初めての国として、今、世界が日本の動向に注目しているのです」(柏木氏)
「デジタル革命後に自由化し、新しい時代のエネルギービジョンを描く初めての国として、今、世界が日本の動向に注目しているのです」(柏木氏)

 ただ、日本は工業国家から文化国家へとさらに発展を遂げました。朝から晩まで稼働し続けている工場と違い、オフィスや家庭の場合、電力の使用時間は日中に偏ります。このピークに合わせて電源を開発した結果、稼働率1%の電源を7.5%持つような事態に陥ってしまいました。電力市場が自由化された今、何千億円ものコストをかけてピーク時の1%に備えることは不可能です。これからは負荷を平準化するシステムに転換していくことが求められます。

 今後、稼働率が低く高コストな大規模集中型電源はエネルギーシステムから脱落せざるを得ないでしょう。効率の優れる稼働率の高い大規模電源だけが残り、分散型エネルギーシステムがそれを補う形になっていくはずです。

 経済産業省は2015年7月、「長期エネルギー需給見通し」を決定し、日本における2030年のエネルギーミックス(電源構成)について目安とする具体的数値を定めました。その中で、分散型エネルギーの有力なアイテムとしてコージェネレーション(熱電併給)システムにも言及し、2030年に約1190億kWh程度の導入という数値目標を掲げました。1190億kWhとは電力全体の約12%に相当し、現状の約3倍にも及びます。コージェネがこのように位置づけられたことは極めて画期的なことだと思います。

 エネルギーシステムの最適化を進めていくと、大規模電源と分散型電源の割合は7対3になると、私はみています。そして、コージェネは分散型エネルギーの半分となる全電力発電量の15%を担えると考えています。これが実現した時、日本の各地に、低炭素な地産地消型のスマートコミュニティが誕生しているはずです。

 
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経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会が取りまとめた「第5次エネルギー基本計画(案)」が公開され、当財団としてパブリックコメントを提出いたしました。その結果および「第5次エネルギー基本計画におけるコージェネの位置づけ」について、資料を取りまとめております。

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