スペシャルリポート

パネルディスカッション
地域活性化と分散型エネルギー(後編)

分散型エネルギーシステムで都市から地域へ回帰

山﨑:今後は全国に、また海外に分散型エネルギーシステムの成功事例を広げていくことが重要です。幡多さん、佐野さん、今の事業をどう拡大・発展させていく考えですか。

幡多 輝彦(はた てるひこ) 氏
幡多 輝彦(はた てるひこ) 氏
JFEエンジニアリング株式会社 取締役 専務執行役員 技術本部長

幡多輝彦氏(以下敬称略):海外へはぜひ進出したいと思います。苫小牧工場には年間5000人以上の見学者が訪れますが、海外からも多く来られます。安全・安心で品質の高い日本の野菜への信頼は非常に高い。日本で実証したスマートアグリシステムを輸出したいと思います。

 その中で近隣の工業団地や商業施設とエネルギーを融通し合う仕組みづくりにも携わりたい。こうした事例の先駆けとして、現在、静岡県磐田市と共同で行うエネルギー供給事業を検討中です。地域にガスエンジン発電所を設け、商業施設や工業団地には電気や熱を、植物工場にはCO2を供給するものです。

 さらには今の取り組みをスマートアグリシティへと発展させるのが私の夢です。一つのまちに植物工場から出荷センター、卸売市場、食品加工工場までを集積し、大規模な食のバリューチェーン化をします。エネルギーセンターを設け、近隣の商業施設や工業団地、住宅とエネルギーを融通し合い最大限の効率化も実現します。この取り組みによって日本の農業の競争力を向上する将来像を描いています。

佐野 冬彦(さの ふゆひこ) 氏
佐野 冬彦(さの ふゆひこ) 氏
東邦ガス株式会社 専務執行役員 業務用営業本部長

佐野冬彦氏(以下敬称略):私たちは、まずは国内で勝負します。考えているのは、各地域の特性に合ったスマートエネルギーシステムを導入し広めていくことです。今日はアクルスの話を中心に紹介しましたが、工場がある地域で分散型エネルギーシステムを構築するケースもあれば、農業分野でシステムを構築するケースもある。白地からスマートシティを立ち上げるケースもあります。

 いずれのケースもそれぞれの地域に合うシステムを組み、それぞれの地域が連携してこそ、省CO2、省エネ、強靱化などのメリットが得られます。ただし、我々だけでできることには限りがあります。他社と、また自治体や省庁と連携することでスマートなエネルギーネットワークを構築することが可能になり、その中で新たなビジネスチャンスが生まれ、経済活性化につながると考えています。

山﨑 隆史(やまざき たかし) 氏
山﨑 隆史(やまざき たかし) 氏
コージェネ財団 専務理事

山﨑:総務省、経産省の立場からは分散型エネルギーシステムの今後の展開についてどのような期待を持っているでしょうか。

村手:地域の特性に合ったエネルギーシステム構築の取り組みが進めば、地域で雇用が生まれ、お金が回り、魅力的なまちが出来上がり、都市から地域への回帰が始まるはずです。そういうゴールにたどり着くことを期待しています。

 エネルギーインフラプロジェクトは事業化に至る団体がまだ少ないのが課題。マスタープランづくりのコンサルティング機能やアドバイス機能を充実・強化させたいと考えています。

茂木:分散型エネルギーは供給側のエネルギー源も多様なら需要側の施設も利用形態も多様です。両者をつなぎ、マネジメントするエネルギーシステムが価値を増します。重要な役割を担うのはエネルギー会社。IoT、AIなど最新の技術を取り込み、ノウハウを生かしながら両者を最適にマッチングしていかなくてはなりません。システムも技術も日々進歩する中で、新たな機能を身につけながら収益を向上してほしいと思います。

 また、CO2を「減らす」ばかりでなく、資源として「使う」という発想へと転換することは日本にとっても世界にとっても極めて重要です。トリジェネが今後、ビジネスベースで回るように実装が進むことに期待したいと思います。

山﨑:優れた分散型エネルギーシステムがスマートシティを支え、エネルギーと産業が一つのパッケージとなって全国や海外に広がっていく事業展開が見えてきたように思います。

 
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来る2月15日、コージェネ財団は、「IoTネットワークによる超スマートシティへのアプローチ」をテーマに、「コージェネシンポジウム2018」を東京・千代田区のイイノホールで開催します。翌16日には、テクニカルツアーも実施します。ぜひご参加ください。

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