CO2フリー水素を活用した次世代の水素社会実現に向けて
東芝エネルギーシステムズ 水素・燃料電池技師長
佐藤 純一

東芝エネルギーシステムズ 水素・燃料電池技師長
佐藤 純一
続いて東芝エネルギーシステムズの佐藤純一水素・燃料電池技師長が「CO2フリー水素を活用した次世代の水素社会実現に向けて」という題で東芝の水素事業への取り組みについて講演した。
東芝は再生可能エネルギーからCO2を排出せずに水素を「つくる」、その水素を「ためる」、燃料電池で「つかう」をワンストップで行う自立型水素エネルギー供給システム「H2One」の普及を進めている。蓄電池と水素電力貯蔵装置を組み合わせたハイブリッドなシステムで、エネルギーの短期変動の吸収から長期貯蔵まで可能にしているのが特徴だ。
東芝はH2Oneシステムのラインアップとしてコンテナ内にパッケージ化した「ワンコンテナモデル」、燃料電池車用水素燃料供給機能を付加した「マルチステーション」などを用意するほか、遠隔地や離島での自給自足を目指す分散電源システム「オフグリッドソリューション」の検討を進めている。
さらに、佐藤氏は純水素燃料電池システム「H2Rex」の説明も行った。「H2Rex」は発電効率50~55%と高いのが特徴で、0.7~100kWまで商用化している。昭和電工向けに100kW機を納入したケースでは、使用済みプラスチックから精製した水素を使って発電し、近隣のホテルへの電力供給を実現している。佐藤氏は燃料電池システムについて「今後、小型化を追求しつつ、出力を1MWまで拡大することを狙う。さらに用途拡大のため船、鉄道のほか、農業機械、ドローンなどへの活用も検討している」と語った。
最後に佐藤氏は再生可能エネルギーの余剰電力から水素を製造・貯蔵するP2Gでの東芝の取り組みを説明した。現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)を主体に、東北電力、岩谷産業と共同で福島県浪江町に水素エネルギーシステム「福島水素エネルギー研究フィールド」を建設中。今年夏に運転を開始し、実証実験を行う予定だ。1日で一般家庭約150世帯分または燃料電池車約560台分の水素を製造できる見込みという。
佐藤氏は「これから分散型エネルギーを普及させるためには、再生可能エネルギーと水素のポテンシャルを最大限活用した水素サプライチェーンを構築することが重要。東芝はその実現に貢献したい」と抱負を述べて特別講演を終えた