スペシャルリポート

国際エネルギー情勢と
日本のカーボンニュートラル戦略
エネルギー安全保障と脱炭素の両立に
コージェネが貢献

脱炭素分野で150兆円超の投資が必要

経済産業省資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長 井上博雄氏
経済産業省資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長
井上博雄氏

 続いて経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長の井上博雄氏が登壇し、「S+3E(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合)」を前提に、「2050年カーボンニュートラル」「2030年度のCO2排出量46%減」を実現する道筋について、政府の方針を説明した。

 柱となる方策は省エネだ。政府は2030年度の省エネ量目標を従来の5030万klから6200万klへと2割積み増している。需要サイドのエネルギー転換を後押しするため、今年5月には「省エネ法」を改正した。井上部長は「非化石エネルギーの導入目標の設定、電気の需要最適化を促す仕組みの詳細設計など準備を進めていく」と説明した。

 また、政府は気候変動問題に対応する「クリーンエネルギー戦略」の策定に向け、5月に中間整理を公表した。井上部長は「熱利用の高効率化・脱炭素化のため、コージェネシステムなど省エネ設備の導入促進、ヒートポンプの導入加速、水素など脱炭素燃料の活用が重要と位置づけた。これらの取り組みをしっかり進めていく」と語った。

 この中間整理では、今後10年で官民合わせ脱炭素分野に150兆円超の投資が必要との試算を盛り込む。政府は今後、20兆円規模の「GX経済移行債」を先行調達し、民間の投資を促進する予定だ。規制や市場設計、政府支援、金融枠組み、インフラ整備などを包括的に盛り込んだGX投資のための10年間のロードマップを年末までに取りまとめる。

 井上部長は「現在、我々が直面するグローバルな課題は、新たに競争力を高める機会にもなるととらえている。需要と供給の両面で前向きな投資を加速する様々な政策の具体化を急ぎたい」と政府の方針を示した。

 続いて登壇した日本エネルギー経済研究所常務理事の山下ゆかり氏は「混迷する国際エネルギー情勢と日本への影響」をテーマに基調講演を行った。九州大学副学長・主幹教授で水素エネルギー国際研究センター長の佐々木一成氏による基調講演では「水素エネルギー利活用と今後の展望」が語られた。

コージェネ財団専務理事 坂倉淳
コージェネ財団専務理事 坂倉淳

 「新しい資本主義と日本のエネルギー戦略」と題した座談会では、司会進行役の柏木理事長に加え、山下氏、佐々木氏、シェルジャパン代表取締役社長の吉田康子氏が登壇し、脱炭素化や成長戦略に深くかかわるエネルギー政策のあり方について活発に議論を交わした。

 最後にコージェネ財団の坂倉淳専務理事が登壇し閉会の挨拶を述べた。「コージェネはエネルギー高度利用のフラッグシップと言うべき省エネ技術。レジリエンス性も高く、再生可能エネルギーの調整役にもなるなどトランジション期に大きな役割を果たし得る。この技術・システムをどう活用し日本のエネルギーの未来を明るくするか、引き続き、皆さんとともに考えていきたい」と語り、特別講演会をしめくくった。

 
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