
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長
井上博雄氏
続いて経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長の井上博雄氏が来賓挨拶を行い、エネルギー政策の動向と今後の方向性を説明した。
岸田文雄政権は2022年、官邸にGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議を設置し、基本方針を取りまとめている。井上氏はその内容について、「産業革命以来、築いてきた化石燃料中心の産業構造・社会構造からクリーンエネルギーを中心とした構造への移行であり、産業エネルギー政策の大転換を意味する」と説明。
政府はGX実現のため、10年間で20兆円規模の大胆な先行投資を実行し、官民合わせて150兆円超の脱炭素分野における新規投資を引き出そうとしている。GX経済移行債や成長志向型カーボンプライシングの枠組みを新たに設けるなど、投資意欲が高まるような制度の構築を目指す。
井上氏は重要施策の1つとして、コージェネの活用などによる産業部門、家庭部門でのさらなる省エネ推進を挙げた。再生可能エネルギーには光と影があることを踏まえ、課題を解決しながら導入を拡大する方針を示した。「脱炭素の切り札」と位置づける水素・アンモニアはバリューチェーンの上流から下流まで日本企業が多くの強みを持っていることを評価し、企業とともに取り組みを加速すると強調した。
井上氏は「現在、直面するエネルギー安定供給体制やエネルギー安全保障の課題は、解決できれば我が国の競争力を高める機会になる。脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長を〝一石三鳥〟で実現できるよう、政府はGXに本腰を入れて取り組む」と力を込めた。
基調講演は独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)理事長の細野哲弘氏が「カーボンニュートラル、エネルギーセキュリティにどう対処していくか」と題して行った。2つの問題に深く結びつくJOGMECの歴史と変遷をたどりながら、我が国が進むべき方向性を示した。
シンポジウムでは11年目を迎えた「コージェネ大賞2022」の表彰式も行った。同大賞の民生用部門、産業用部門、技術開発部門において理事長賞を獲得したプロジェクトの代表者が、それぞれの取り組み内容を発表した。

コージェネ財団 専務理事
坂倉 淳
続いて「カーボンニュートラルがもたらす需給構造の大変革」と題し、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹で内閣官房参与、元内閣総理大臣秘書官の今井尚哉氏と、ヴェオリア・ジャパン代表取締役会長の野田由美子氏、柏木理事長が鼎談を行った。需給逼迫による価格高騰などで混迷を深めるエネルギー市場の問題点を指摘しつつ、今後日本がエネルギーセキュリティを確保し、またカーボンニュートラルへと移行しながら経済成長を果たすための道筋について議論を深めた。
最後にコージェネ財団の坂倉淳専務理事が閉会挨拶で登壇した。「コージェネは省エネによるCO2排出量削減だけでなく、系統電力の調整やレジリエンス向上にも貢献する。この提供価値をより高めるため、システムとして高度化しながら導入を進めることが重要と考えている。財団は今後もカーボンニュートラルに向けたトランジション期に重要な役割を果たせるよう、高度な知識や知恵を結集し積極的に活動したい」と意気込みを示し、シンポジウムを締めくくった。