コージェネは4階建てのオフィス棟の屋上にクレーンで吊って設置。「クレーン作業のために道路のガードレールを一部取り外さなくてはならなかった」(関係者)そうだ。初めての試みだけに、このような想定外の事態も起きたが、大きなトラブルはなく無事に設置できた。

700kWガスエンジンコージェネをオフィス棟の屋上に搬入・設置
一方、コージェネの排熱を利用する吸収式冷凍機は、3つに分割した状態で地下スペースに搬入し、現場で元の状態に合体させた。ここは既存の吸収式冷凍機、ボイラーなどが稼働しているため、分割しなければ設置場所まで運び込めない。この分割搬入に対応しているのは日立製作所製のものだけで、基本性能に加えて、そのことが今回の採用の決め手となった。

排熱投入型吸収式冷凍機を分割して搬入・設置
4階建てのビジネス棟の屋上にコージェネを設置したり、吸収式冷凍機を分割して地下に搬入したりする作業は、前例がなかった。本来、コージェネシステムは新築ビルに導入されるケースがほとんどだ。既存の施設に後付けで導入し、しかもスマートエネルギーネットワークを構築することで、ビルやホテルの価値を高めようとすること自体、業界初の試みだった。
だが、東京イースト21のような都市部にある既存施設をスマート化しようとすれば、このような前例のない取り組みも必要になっていく。
とはいえ、前例がなかった上に、工事を決定したのは東日本大震災の直後で、厳しい経済環境にあった。そのため当初は、「建物のリニューアルだけにしよう。いまは冒険をすべき時ではない」とする意見は、鹿島の社内にもあったそうだ。
しかし、長谷川俊雄・専務執行役員(建築設計担当)が、「やってみろ。責任は自分がとるから」と“GOサイン”を出し、前例なき挑戦に乗り出したのだった。このときの決断について長谷川氏は、「日本初の超高層ビルの『霞が関ビル』(完成は1968年)を建設するなど、かつては“超高層の鹿島”といわれました。そして、いまは“環境の鹿島”を標榜しています。コージェネを生かして都市部の既存施設をスマート化するという今回の試みは、やってみる必要があったのです。やはり会社は挑戦をしないと活力が出ない」と打ち明ける。