スペシャルリポート

ガスコージェネでBCPを確保
スマート化で省エネ・低炭素化も実現

4階建て屋上への設置で浸水にも備える

 また、軽油などの液体燃料は緊急時に備えて常時保管しておく必要があるが、多くの場合は地下施設が利用される。同様にディーゼル発電機にしても、地下に設置されるケースは多い。仮に、東日本大震災のような津波が襲ってきた時、浸水してしまう可能性は高く、非常用電源として機能させるのが難しいケースも出てくる。

 津波や洪水の被害を回避できたとしても、その後、燃料の軽油を調達し続けることも次の問題になる。東日本大震災の直後、関東地方でさえガソリンスタンドの前には、燃料を求める車が長蛇の列となったのは、記憶に新しい。

 開業して20年を超える複合施設「東京イースト21」(東京・江東)が、スマートエネルギーネットワークを構築してリニューアルオープンしたのは今年4月。かつてはスーパーマーケットだった4階建てオフィス棟の屋上に、700kWのガスコージェネをクレーンで吊り上げて敷設されている。「4階建ての屋上、すなわち5階にあります。このため、東日本大震災クラスの大きな津波がきても、浸水の心配は、まずありません」と平岡氏。

新たに導入された700kW高効率ガスコージェネ(左)

新たに導入された700kW高効率ガスコージェネ(左)。遮音壁で囲み、防振構造の台上に設置して騒音・振動対策に万全を期した。右写真の赤い丸で囲んだ部分に格納されている
 

 2011年3月11日の東日本大震災のとき、仙台港近くのキリンビール仙台工場は津波に襲われた。巨大な貯酒タンクが4本倒壊するなど大きな被害を受ける。ただし、近隣住民を含め工場内にいた481人は、「3階建ての事務棟の屋上に避難し、全員が無事でした。奇跡としか言いようがなかった」(キリン幹部)。周辺の工場では津波による死傷者が多数出た。キリンの定期的な避難訓練が奏功したのかもしれない。

 それでも非常用電源は、津波によって喪失する。工場内の液体燃料を使った発電機が動き出したのは3月下旬になってから。この間、夜の工場は真っ暗になり、窃盗団による缶ビールなどの盗難被害に何度も遭う。被災しても、施設に明かりがついているということは、防犯面からも重要なのである。

 
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