スペシャルリポート

五輪見据え低炭素でBCP性の高い街づくりを
官民連携、規制緩和、インセンティブなどがカギに

「公」が果たす役割に期待

稲田和広(いなだ かずひろ)氏
稲田和広(いなだ かずひろ)氏
日立製作所インフラシステム社都市システム本部担当本部長。1991年京都大学理学部地球物理学科卒。同年日立製作所大みか工場産業システム設計部、2012年スマートインフラ開発プロジェクト本部担当本部長、13年より現職

柏木:日立製作所は既に世界各地で先導的なスマコミのプロジェクトを進めています。どんな切り口でアプローチしていますか。

稲田和広氏(以下敬称略):街づくり、モビリティ、水、エネルギーと多様な角度でスマコミづくりを進めています。その根幹になるのがIT(情報技術)。例えば「柏の葉スマートシティプロジェクト」では蓄電池や再生可能エネルギーを導入し、「AEMS(エリアエネルギー管理システム)」で制御することで最適な地域のエネルギー管理を実現しています。同時にBCP、LCP(生活継続計画)も両立させ、安心・安全な暮らしをサポートします。

柏木:スマコミにおいて、ITの力を活用し電気、熱を上手に、賢く制御するスマートエネルギー(スマエネ)の仕組みは不可欠ですね。東京ガスはどのような取り組みを行っていますか。

菱沼祐一(ひしぬま まさかず)氏
菱沼祐一(ひしぬま まさかず)氏
東京ガススマエネ推進部長。1984年東京工業大学大学院総合理工学研究科電子化学専攻修了。同年東京ガス入社。2007年エネルギー営業本部ソリューション技術部長、12年技術開発本部基盤技術部長兼スマートエネルギーネットワーク推進プロジェクト室長。13年より現職

菱沼祐一氏(以下敬称略):スマエネによって、コージェネはより良いものになると考え、くらし(住宅)、ビル、地域においてスマエネ化を進めています。地域のスマエネ化の最新事例が今年冬に竣工する東京・JR田町駅東口北地区の再開発です。港区、愛育病院、東京ガスグループが官民連携し、公共施設や病院で使うエネルギーをスマートエネルギーセンターが供給するプロジェクトです。コージェネや再生可能エネルギーなどの供給と、建物側の需要を一括管理・制御する「SENEMS」を導入し、地域の需給を最適化しながら省エネを実現し、低炭素で災害に強い街を目指しています。

柏木:安倍政権はスマコミの構築、コージェネの普及を推進していく方針を明確に示しています。ここからは、誰が、どんなモデルでプロジェクトを進めていくのかが問われます。

長谷川:スマコミにかかわる事業者は我々のようなゼネコンのほか、デベロッパー、メーカー、エネルギー会社と多様です。重要なのは導入する企業などのビジネスモデルに適合させて、エナジーベネフィット、ノンエナジーベネフィットの両面でメリットを得られるプランを策定することで、関係する事業者の考え方をまとめるコーディネーター的な存在が必要です。複数の企業でSPC(特別目的会社)をつくることも一つの解になると思います。

稲田:都市と地方とではスマコミのビジネスモデルも変わります。都市に関しては、今、お話があったように複数の事業者の間で考え方をまとめていくことが必要です。一方、人口、人流が少ない地方に関しては、熱の供給範囲内で十分な需要を生むために、スマコミそのもので地域を活性化し、人を集中的に呼び込むようなモデルをつくる必要があります。

菱沼:スマコミの重要な担い手として自治体など「公」が果たす役割にも期待したいところです。先ほどお話ししたJR田町駅東口北地区の土地所有者は港区です。レジリエンス(強靭さ)という点で言えば、役所、警察、病院などの公的機関が電源を持つことは重要だと思います。

 
前ページ前ページ 123 次ページ次ページ
 
スペシャルリポート 記事一覧