スペシャルリポート

パネルディスカッション
地域活性化と分散型エネルギー(前編)

運河水も活用、熱利用を高度化

山﨑:コージェネを含む分散型エネルギーシステムが地域の事業や産業に付加価値を生み出すための技術やビジネスモデルについて深掘りしたいと思います。佐野さん、アクルスのスマートエネルギーシステムについて、説明を付け加えていただけますか。

佐野:三つポイントがあります。第1が「熱利用の高度化」。地域の熱需要を予測し、高稼働率が期待できる20kWのコージェネを選定したほか、余剰排熱を有効利用するため、低温の排熱から発電できるバイナリー発電を導入しました。アクルスが運河沿いであることを生かし夏期は大気より温度が低く、冬期は高い運河水の熱も活用。ヒートポンプを使って商業施設やスポーツ施設に冷熱・温熱として供給します。

 第2のポイントが「環境に優しい電力供給システム」です。エネルギー効率の高いコージェネをしっかり稼働させた上で太陽光発電を活用します。また外部から木質バイオマス発電電力を受け入れ、不足分を系統電力から調達します。太陽光発電やバイオマス発電の電力を安定的に利用できるよう、大型のNAS蓄電池を導入し、全体の需給を調整します。

 第3のポイントが「CEMS(コミュニティー・エネルギー・マネジメント・システム)によるエネルギーマネジメント」。地域に電気・熱・情報のネットワークを構築し、各施設のBEMS、HEMSと連携してエネルギー需給を一括管理します。ピーク時の需要抑制に協力したユーザーにポイントを付与する仕組みも整えます。1990年比でCO2排出削減率60%、一次エネルギー削減率40%の実現を目指します。

山﨑 隆史(やまざき たかし) 氏
山﨑 隆史(やまざき たかし) 氏
コージェネ財団 専務理事

山﨑:幡多さん、 JFEエンジニアリングの植物工場のビジネスモデルをもう少し説明していただけますか。導入している分散型エネルギーシステムの特徴も教えてください。

幡多:当社は植物工場の設備づくりに必要な土木、建築、機械、水処理、エネルギー技術などを保有しています。我々はこれらの技術を活かして設備を提供するだけでなく、自身の苫小牧実証設備にて生産に取り組むとともにデータを収集し、収益性を確認した上で、お客様に生産のあり方やビジネスモデルを提案しています。

 横浜の総合研究所には実験環境を整えた試験棟を設置。高糖度トマトを含め多様な作物の栽培を試行しています。ここで得たデータを活かし、苫小牧での生産につなげています。

 Jファームのエネルギーシステムの肝はガスエンジントリジェネシステムです。ガスエンジンの理論空気比燃焼と三元触媒により、排ガスに含まれるNOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)を除去しています。そのほか、特徴的なのは安価な熱源として普及しているバイオマスボイラーを採用したこと。また、温泉熱も利用しています。井戸を掘ったところ30度の温水が出てきたため、260kWのヒートポンプで80度まで昇温して温水暖房源としています。

 
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来る2月15日、コージェネ財団は、「IoTネットワークによる超スマートシティへのアプローチ」をテーマに、「コージェネシンポジウム2018」を東京・千代田区のイイノホールで開催します。翌16日には、テクニカルツアーも実施します。ぜひご参加ください。

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