
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長
井上博雄氏
続いて、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長の井上博雄氏が来賓挨拶で登壇し、世界のエネルギー政策の動向と、それを踏まえた日本のエネルギー政策の動向を紹介した。
世界で「2050年カーボンニュートラル達成」にコミットする国は144カ国に拡大している。一方、ウクライナ危機を機にエネルギーセキュリティーの重要性が再確認され、脱炭素とともにエネルギーの安定供給体制の確保が改めて各国の課題となっている。
井上部長は「この大きな変革の時代に、欧州も米国も中国も、エネルギー需給構造と産業構造全体を作り替えることで勝ち残ろうとしのぎを削っている」と説明する。
米国は「インフレ抑制法」を成立させ、巨額の投資支援を始めた。欧州も債券を発行し、グリーンとデジタルトランスフォーメーション(DX)に重点配分することを条件に各国に資金を拠出した。エネルギー自給率の低い日本は、再生可能エネルギーや原子力など、エネルギー自給率向上に貢献する電源を活用しながらエネルギートランスフォーメーションを実行することが求められる。
岸田文雄政権はGXを最重要政策課題に据え、今年2月に「GX実現に向けた基本方針」を閣議決定した。その柱は2つある。1つは「エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXの取り組み」で、徹底した省エネの推進や再エネの主力電源化、原子力の活用などを一層進めていく。
もう1つは「『成功志向型カーボンプライシング構想』等の実現・実行」だ。CO2を排出する企業に金銭的負担を求めるカーボンプライシングの導入を盛り込んだことについて、井上部長は「政府は『ルビコン川をわたった』と言える。どういう形で成長や競争力向上につなげるかが重要になる」と語る。
政府は今年5月に2つの法律を成立させた。1つ目が「GX推進法」だ。今後10年間で20兆円規模の「GX経済移行債」を活用し、先行する企業にどんどん投資の支援を行う。その財源に想定するのが「成長志向型カーボンプライシング」で、排出量取引制度や炭素に対する賦課金を導入する。もう1つの法律が「GX電源法」で、再エネの最大限の導入促進と安全確保を前提とした原子力の活用を進める。
井上部長は「2つの法律成立により、GXを推進する環境が整った。これから再エネ、省エネ、水素・アンモニアなど課題ごとに取り組みを進める」と説明する。
こうした環境の中、井上部長はコージェネの意義として改めて、(1)エネルギーの効率的利用、(2)調整力の提供、(3)レジリエンス価値、(4)エネルギーの面的利用・地産地消、(5)燃料の脱炭素化という5つを挙げた。
「これからは脱炭素社会の実現に向け、新しいイノベーションをどう生み出し、実装していくかがカギとなる。そういう観点からもコージェネには大きな期待を寄せている。引き続き皆さんと一緒に導入と高度化を図りたい」と展望を示した。