スペシャルリポート

エネルギーの強靭化と
多様化するコージェネシステム
環境性、強靱性に優れたコージェネがGXに貢献

水素とCCSに関する法案を今年の通常国会に提出

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長 井上博雄氏
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長
井上博雄氏

 続いて、経済産業省 資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長の井上博雄氏が来賓挨拶に立ち、政府のエネルギー政策の進捗について説明した。

 世界では各国がカーボンニュートラルの実現に向け、温室効果ガス排出量の削減目標を掲げ、取り組みを進めている。うまく進んでいる国、あまり進んでいない国とばらつきがある。

 井上氏は日本の進捗について、「『2030年度に2013年度比46%削減』『2050年カーボンニュートラル』という厳しい目標を掲げる中、これまでのところ、皆さんの尽力で順調に進んでいる。ここから、さらに取り組みを加速させる必要がある」と語った。

 ウクライナ危機、イスラエルを巡る状況、中東の紛争などを背景に、エネルギーセキュリティーの重要性が増している。井上氏は「エネルギー自給率の低い日本は、いかにエネルギーセキュリティーを確保しながらカーボンニュートラルを実現するかが課題」と指摘した。

 岸田文雄政権は、グリーントランスフォーメーション(GX)を推進しながらエネルギーの安定供給と脱炭素分野での新たな需要・市場の創出を実現し、日本経済の産業競争力強化や経済成長につなげようと動いている。3つの課題を1度に達成しようという試みだ。米国が「インフレ削減法」を成立させ、欧州連合(EU)が「グリーンディール産業計画」を構築するなど、世界では、この取り組みに関して、一種の国際競争が繰り広げられている。

 その中で、日本も2023年にGXに関係する2つの大きな法律を成立させた。

 1つは「GX推進法」で、今後10年間で官民150兆円超のGX投資を進める方針を盛り込む。政府がまず20兆円の「GX経済移行債」を発行し、先進的な取り組みに挑む企業を後押しする。

 また、成長志向型カーボンプライシング制度を導入し、2028年度には炭素に対する賦課金の徴収を、2033年度には排出量取引制度を本格化する考えだ。

 もう1つは「GX脱炭素電源法」で、地域と共生した再生可能エネルギーの導入拡大支援と安全確保を前提とした原子力の活用を示している。

 井上氏は「これらの法律の成立を踏まえ、我が国のGXをいかに国全体に広げていくかの議論を進めている。22の産業分野別に『道行き』を示し、重点分野ごとの投資戦略を作り始めた」と説明した。

 製造業関連では鉄鋼、化学、紙・パルプなど、運輸関連では自動車/蓄電池、航空機/SAF(持続可能な航空燃料)など、エネルギー関連では水素等、原子力、次世代再生可能エネルギーなどの投資戦略を固めた。そのほかくらし、資源循環、半導体などの投資戦略を構築している。「GX経済移行債20兆円のうち、13兆円の活用が決まっている」(井上氏)。

 こうした取り組みを踏まえ、政府はさらに2つの法律制定を準備している。井上氏は「1つは水素の利用・供給拡大を目指す法律で、コストを下げながら幅広い分野で水素やアンモニア、合成メタン、合成燃料を使うための仕組みを整備する。経済産業省だけでなく国土交通省や環境省も一緒に、水素エネルギーのインフラづくりから進めていくための法案を検討している。もう1つ、CCS(CO2の回収・貯留)の推進に向け、保安上のルールなどを整備した法案も2024年の通常国会で提出する方針だ」と説明した。

 
前ページ前ページ 123 次ページ次ページ
 
スペシャルリポート 記事一覧