スペシャルリポート

エネルギーの強靭化と
多様化するコージェネシステム
環境性、強靱性に優れたコージェネがGXに貢献

コージェネの役割や意義が浸透、政府の支援策も強化

 井上氏はカーボンニュートラルとエネルギーセキュリティーの両立を実現する上で、コージェネシステムに期待される役割や意義を再整理した。「地域内でエネルギーを効率的に面的利用でき、不安定な再エネの調整電源としても役割を果たす。災害時のレジリエンス強化やエネルギーの地産地消も後押しする。脱炭素化が進む燃料を有効活用する上でも欠かせない」と説明した。

 強靱かつ効率的でエネルギーを余すことなく地産地消する先行例の1つに、コージェネシステムを含む設備でマイクログリッドを構築した群馬県多野郡上野村を挙げた。

 コージェネが持つ役割や意義は、第6次エネルギー基本計画やGX基本計画においても確認され、政府の補助金などの支援策も抜本的に強化されているという。

 井上氏はエネルギーシステムのあるべき姿について、「政府も悩みながら、苦しみながら、これからの進み方を考えている。みなさんにも新しい知恵、イノベーションを見出していただき、官民連携しながら、これからの一歩を踏み出していきたい」と展望を述べた。

 2023年11月、家庭用燃料電池「エネファーム」が累計出荷50万台を突破した。シンポジウムでは、コージェネ財団の「エネファーム」普及支援検討委員会委員長で東京ガス執行役員の門正之氏が登壇し、その報告と「エネファーム」のこれまでの歩みを説明した。

 続いて、コージェネ財団が2023年9月にオランダ、ベルギーで行った海外視察調査について、視察団の副団長を務めた東京ガスカスタマー&ビジネスソリューションカンパニー企画部エネルギー公共グループマネージャー清田修氏が報告を行った。

 基調講演には、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)理事長の斎藤保氏が登壇した。「持続可能な社会の実現に向けたNEDOの取組」と題した講演で、「イノベーション・アクセラレーター」の役割を果たすNEDOが、GX分野で進めている先進の取り組みについて紹介した。

 シンポジウムでは、12回目を迎えた「コージェネ大賞2023」の表彰式も行った。民生用部門、産業用部門、技術開発部門で理事長賞を獲得したプロジェクトの代表者が、それぞれの取り組みのプレゼンテーションを行った。

コージェネ財団 専務理事 坂倉 淳
コージェネ財団 専務理事 坂倉 淳

 鼎談では、「百花繚乱のエネルギーシステムと今後の展開」がテーマとなった。前消費者庁長官で公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター顧問の伊藤明子氏、大阪ガス常務執行役員でDaigasエナジー代表取締役社長の井上雅之氏、柏木理事長の3人が、能登半島地震でも浮き彫りになったエネルギーシステムや建屋の強靱性の問題、また環境性の追求やその情報公開について、活発に議論を繰り広げた。

 シンポジウムの最後に、コージェネ財団の坂倉淳専務理事が登壇し、閉会挨拶を行った。「今年は米国の大統領選挙、欧州議会議員選挙などが予定されている。エネルギー政策や環境政策にも少なからず影響が出ると想像している。コージェネはGXの一丁目一番地である省エネを足元でしっかり実現する。再エネシステムなどと組み合わせ、創意工夫することで、多様な価値を生むこともできる。今後も引き続き、その価値や意義を訴求していきたい」と語り、シンポジウムの幕を閉じた。

 
前ページ前ページ 123 次ページ次ページ
 
スペシャルリポート 記事一覧