井上氏は今年成立した「CCS事業法」の内容も示した。今後、CO2を地中に埋める権利を事業者に与え、その代わり、安定的に安全に進めるための規制措置を講じる。「国内外におけるCCS(CO2の回収・貯留)をカーボンニュートラルの一手段として明確に位置づけた」(井上氏)形だ。
既に北海道・苫小牧で先行的な事例が進んでいるが、それ以外の地域でもフィージビリティースタディーをしながら可能性を探っていく。
法制度の整備を受け、企業のGXへの取り組みも動き出している。岸田政権は今年年末までに「GX2040ビジョン」を策定する方針を示し、再スタートした「GX実行会議」で、強靱なエネルギー供給確保、GX産業立地、GX産業構造、GX市場創造について議論を深めていく考えだ。井上氏は「年度内にGXの議論もエネルギー基本計画の議論も方向性を示し確定する」と先行きを示した。
「特別講演会2024」では、続いて基調講演が行われた。公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)理事長の山地憲治氏が登壇し、「RITEの取り組みとCCSの動向」をテーマに語った。4つの研究グループが推進する先進的な環境技術の研究開発について紹介したほか、「CCS事業法」の成立により、注目が高まるCCSについて、先行的に研究開発を進めてきた立場から、課題や展望を示した。さらにRITEが3年前に検討した「2050年カーボンニュートラルシナリオ」を示し、CCSの位置づけなどを説明した。
その後、「GX関連新法を見据えた我が国のエネルギー選択」をテーマに、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)理事長の髙原一郎氏、川崎重工業取締役(監査等委員)の柿原アツ子氏、コージェネ財団の柏木理事長による鼎談が行われた。法整備の進展とともに日本でも本格的にGX関連事業の取り組みが始まっている。だが、カーボンニュートラル達成への道行きは単純ではない。紆余曲折を恐れず、多様な取り組みが必要であることなどを語り合った。

コージェネ財団
坂倉 淳 専務理事
閉会挨拶で登壇したコージェネ財団の坂倉淳専務理事は、2023年度のコージェネの導入状況を報告した。近年、おおむね20万kWほどで推移していた導入容量が2022年度には15万kWと下がったが、2023年度に21.3万kWと回復し、省エネの推進役としての役割を果たしている状況を確認した。
坂倉専務理事は「脱炭素社会の移行に向けては、現実的なアプローチをもしっかり考えたエネルギー政策を講じることが必要となる。足元の省エネや低炭素化を実現するため、分散型エネルギーの重要性はますます高まっている。その核を担うコージェネの役割は非常に大きく、引き続き普及促進に努めたい」と語り、特別講演会を終えた。