スペシャルリポート

エネルギー新法を踏まえたカーボンニュートラルの展望
GXを加速し脱炭素・経済成長・エネルギー安全保障を同時に実現へ

低炭素な水素等に対し世界最大規模の価格差支援を実施

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長 井上博雄氏
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長
井上博雄氏

 日本でも、岸田文雄政権がGXを“一丁目一番地”の政策にしようと動く。具体的な政策の1つとして、政府は今後10年間で20兆円規模に及ぶ「GX経済移行債」を調達し、GXに取り組む企業に支援を行う。移行債の財源は約5年後、10年後に導入する「成長志向型カーボンプライシング」をあてる方針だ。

 井上氏はこうしたGX推進の取り組みの中で、コージェネの普及を促進する意義について「コージェネに対しては第1に省エネ性、第2に再生可能エネルギーを導入した際の調整力、第3に災害時のレジリエンスを期待している。脱炭素燃料を有効活用できる点も価値が高い。大規模電源ネットワークと融合する地産地消のエネルギーシステムとして極めて有用であり、現行のエネルギー基本計画でも、重要なエネルギーシステムと明確に位置づけている」と言及した。

 コージェネへの具体的な支援策として、政府は2023年度補正予算で、コージェネを含む省エネ設備に対して省エネ補助金を提供している。また、コージェネのような災害時における長期停電時に独立して電力を供給できる電源にも支援を行う。

 燃料を脱炭素化するための水素・アンモニアに関しての支援にも力を入れている。井上氏は「発電部門はもとより輸送部門、産業部門の熱を脱炭素化する上で、水素やその化合物は非常に重要。政府は水素、アンモニア、合成メタン、合成燃料をGX時代の戦略物資と考えている」と語る。

 ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機を経て、世界でも水素への注目度は高まっている。欧米では水素に対する様々な支援制度、規制制度を導入している。井上氏は「日本企業は水素のサプライチェーンを構成する様々なテクノロジーで世界最先端の位置にある。エネルギー政策としてだけでなく、産業政策的にも極めて重要と考えて水素に取り組んでいる」と説明した。

 今年5月に成立した「水素社会推進法」は、政府が前面に立ち、水素、アンモニア、合成燃料、合成メタンの需要立ち上げと供給拡大を行うことを定めている。今後、政府は認定した計画の支援措置を行う。

 その1つに、化石燃料との価格差の支援がある。イギリスでも既に同様の支援が制度化されているが、日本の場合は「低炭素な水素、アンモニア、合成メタン、合成燃料と幅広く、また国内製造だけでなく海外からの輸入も対象とする点で世界最大規模」(井上氏)と言う。

 国内に新しい水素等の拠点を重点配置し、国土交通省と連携しながらパイプラインやタンクなどのインフラ整備を行う。安全を大前提にしながら、「高圧ガス保安法」等の規制の特例措置も適用する。こうした支援を受け、水素・アンモニアを混焼、専焼するコージェネも立ち上がりつつある。

 
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