CCSの今後の見通しをお話しします。経済産業省は、CCSの事業化に向け、「CCS長期ロードマップ検討会」を設置し、2023年に最終取りまとめを発表しました。その中で、2050年時点で年間約1.2億~2.4億tのCO2貯留を可能とすることを目安に、2030年までの事業開始に向けた環境整備を図ることを表明しています。
政府は事業の大規模化とコスト削減に取り組むモデル性のある事業を「先進的CCS事業」と位置づけ、CO2の分離・回収・輸送・貯留まで、バリューチェーン全体を一体的に支援しています。現在、対象事業は9件で、マレーシア、大洋州など海外で行うものもあります。9件のCCS事業により、貯留量は2000万tに達すると報道されています。
引き続き、CCSコストの低減に向けた取り組みや、CCS事業に対する国民理解の増進を図ることも必要です。海外でCCS事業を推進することも求められます。
「CCS事業法」の下、今後はCCS事業を行う事業者に対して許可を与え、試掘権や貯留事業権を設定することになります。CCS事業では、CO2圧入後のモニタリングが長期にわたり、民間企業では負担が大きいことから、管理業務を独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に移管し、拠出金を出すといった仕組みをつくることも必要になります。
最後に、私が考える脱炭素を実現するエネルギーシステムの構成をお話しします。大事なのは電気や水素のようなクリーンで効率的な2次エネルギーの存在です。今回法制度が整った水素も含みます。変動性の高い再エネは、いかに貯蔵するかが重要になります。
システム研究グループのカーボンニュートラル実現に向けたシミュレーションからは、デジタル社会でのシェアリングエコノミー推進など社会のスマート化が需要変容を起こし、エネルギーコストを大幅に低減する可能性があることが明らかになりました。電化・デジタル化によって革命的にエネルギー節約ができる可能性があります。
難しいのは産業用の熱の脱炭素化です。どうしてもCO2の原燃料化が必要になります。それでも足りないところはBECCSやDACCSなどのネガティブエミッション技術を活用することが求められます。
あらゆる技術を総動員して初めて、カーボンニュートラルは達成可能となります。RITEはその一翼を担い、貢献していきたいと思います。
