スペシャルリポート

新しいエネルギー戦略と今後の展望
強靱なエネルギー需給構造構築にコージェネが貢献

増加する電力需要に見合う脱炭素電源の確保がカギ

 続いて、経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長の伊藤禎則氏が来賓挨拶で登壇し、GXやエネルギーに関する政策動向と、その中のコージェネの位置づけについて語った。

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長 伊藤禎則氏
経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部長
伊藤禎則氏

 伊藤氏はまず政府が推進するGXのコンセプトについて説明した。「ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりを背景に、世界的にエネルギー危機が危惧される中、エネルギー安定供給、経済成長、脱炭素の3つを同時に実現しようというのがGXのコンセプト。20兆円の政府支出を呼び水に150兆円のGX官民投資を喚起しようという壮大なプログラムが進行しつつある」。

 国内では、生成AIや半導体工場、データセンターの立地需要が拡大し、電力需要が約20年ぶりに増加する見通しとなっている。これに伴い、脱炭素電源ニーズが高まっている。伊藤氏は「電力需要が増えるという趨勢は極めて重要だ。脱炭素電源の供給力を抜本的に強化しなければ、脱炭素時代における電力の安定供給の見通しは不透明になってしまう」と危機感を示す。

 電力需要増加に見合った脱炭素電源を確保できるか否かは産業競争力に直結する。伊藤氏は「脱炭素電源と産業立地をパッケージで考えていくことが必要となる。例えば大規模な再生可能エネルギーとデータセンターや半導体工場を組み合わせる。そこに分散型電源も合わせていく。これにより、エネルギー供給の安定化を図り、強靱なエネルギー需給構造へと転換する」と理想のエネルギーシステムのあり方を示した。

 第7次エネルギー基本計画では2023年度に22.9%だった再エネの電源構成を2040年に4~5割程度まで伸ばす方針を盛り込んでいる。「この数字は、2040年度温室効果ガス73%削減という野心的な目標を前提に、革新的なイノベーションが起こることを想定して作成したものであり、コスト削減を図ることがこれからの課題となる」(伊藤氏)。

 伊藤氏はこうした強靱なエネルギー需給構造を構築する上でコージェネに期待される役割や意義を大きく3点挙げた。「第1にエネルギーの効率的利用が可能で省エネ性が高い。第2に電力供給力の確保の面で重要な役割を果たし得る。特にマイクログリッドなどの分散型電源としてエネルギーの地産地消を促進する意義は大きい。ネットワークのレジリエンス強化という点でも重要性が高い。再エネが電源構成の4~5割程度と主力電源化するのに伴い、出力変動を吸収する調整力としても、一層存在感が大きくなる。第3に燃料の脱炭素化という課題解決にも役割を果たす。水素・アンモニア・合成燃料・合成メタンは様々な用途で活用が期待される燃料だが、コージェネにおいてもこうした次世代燃料を通じた脱炭素化が実現し得る」。

 
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