
経済産業省 資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部長
小林大和氏
続いて経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長の小林大和氏が来賓挨拶に立ち、政府のグリーントランスフォーメーション(GX)・エネルギー政策の動向を解説した。
始めに小林氏はわが国のエネルギーを巡る厳しい現状を示した。「山と海に囲まれ資源に乏しく、脆弱なエネルギー構造を抱える。以前からエネルギー自給率の向上、火力発電への依存度低減などの努力を続けてきたが、東日本大震災後は状況が変化した。人口減少や節電・省エネ等により減少傾向だった国内の電力需要が、データセンターや半導体工場の新設・増設等を背景に増加する見通しとなったのも、この数年で新たに直面するようになった現実だ。脱炭素という要素を加えつつ、低廉で安定的な電力をいかに供給するかが引き続き重要なテーマとなっている」。
国際協調のメカニズムにも再構築が迫られている。「米国のトランプ政権はこれまでの国際公共財を提供するという立場を自ら降りようとしている。地理的状況、産業構造、エネルギー環境の中で、自国にとってベストな政策を追求しようというのが今の姿だ。欧州は環境重視の姿勢を持ちつつ、エネルギー安全保障や産業競争力強化に力点を置くようになっている」(小林氏)。各国は野心的なカーボンニュートラル目標を維持しつつも、自国の経済成長につながるような産業政策の強化を進めている。
こうした状況の下、政府は今年2月に新たな国家戦略「GX2040ビジョン」と「第7次エネルギー基本計画」を閣議決定した。「S+3E(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性)」の原則を維持しつつ、電力需要増加に対応する脱炭素電源を確保することが産業競争力に直結するという認識の下、この両者を一体的に遂行していく方針だ。
小林氏は第7次エネルギー基本計画について、第6次からの進展を解説した。「エネルギーのベストミックスを考える上で万能なエネルギー源は一つもない。それぞれ長所と短所がある。特定の電源や燃料源に過度に依存しないことが重要になる。『再生可能エネルギーか原子力か』といった二項対立に陥らず、あらゆる手段を求める。それでも不足するかもしれないという危機感を持ち、“ベストアベイラブル”を追求することを確認した」。