スペシャルリポート

ゼロエミッションに向けての内外の課題
イノベーションによるコスト低減が不可欠

米欧が連携し日本に厳しい目が向く可能性も

 EUとバイデン政権の温暖化に対する考え方は非常に近く、今後は米欧連携が強まる可能性が高くなりそうです。日本が行ってきた石炭火力の輸出やエネルギーミックスにおける石炭の利用などに厳しい目が向くとも考えられます。

 では中国、インドはどのような状況でしょうか。習近平国家主席は60年のカーボンニュートラル達成を表明しましたが、一方で、20年には19年を上回る数の新規石炭火力発電所の建設を認可しています。インドは輸入石炭を減らし国産の石炭を拡大するために民間投資を呼びこもうとしています。どちらの国も経済回復を優先した政策を講じています。


 ロンドンのシンクタンクが各国のコロナ後の景気回復策のグリーン度を評価したレポートがあります。それによると圧倒的にグリーン度が高いのが欧州各国。それ以外の国、特に途上国はグリーン度ではマイナスで、化石燃料に依存した経済に戻りつつあるという評価です。

 これは当然といえば当然なところがあります。過去に国連が途上国中心に970万人に対して行った意識調査では、人々が高いプライオリティを置くテーマは教育、ヘルスケア、雇用で気候変動は最下位でした。コロナショックが襲いかかる中で目先の経済が優先されるのは途上国ではやむを得ません。化石燃料の需要は今後も増大することが確実。温暖化を巡る建前と現実のギャップはさらに拡大すると思われます。

 このように世界が動く中、日本では現在、第6次エネルギー基本計画の議論が始まっています。引き続き「安全性」「安定供給」「経済効率性」「環境への適合」に重点を置く「S+3E」を軸とした計画になる見込みです。

 安定供給に関しては、単にエネルギー自給率の向上だけでなく、サプライチェーンの構築や技術自給率の向上にも考慮が必要です。経済効率性については徹底した省エネによりエネルギーコストを低減することが求められます。ゼロエミッションに向かう中では一定のコスト増が不可避ですが、それをできる限り抑制することが今回の基本方針の重要なテーマです。

 
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