スペシャルリポート

混迷する国際エネルギー情勢と日本への影響
多様なエネルギー・技術を組み合わせ脱炭素実現を

原子力やCCUSも移行の重要な選択肢

 2021~2022年に予期せぬ供給危機やエネルギー安全保障の課題が出現し、エネルギーを取り巻く現実の厳しさが浮き彫りになりました。

 これまで、脱炭素化に向けては、EU中心に再エネへのシフトが進んできました。ただ厳しい現実に直面し、原子力や化石燃料の脱炭素化など、日本が従来から主張してきたトランジションの方策も重要な選択肢であることが認識されつつあります。単一のエネルギー源に依存せず、各国の状況に応じた多様なエネルギー資源、技術、システムを考慮したポートフォリオアプローチが有効ということです。

 化石燃料もCCSとともに利用すれば脱炭素化への移行に貢献できます。再エネだけでなく、原子力やCCS付きの化石燃料からも水素の生産は可能です。非電力部門の脱炭素化のためにもCCS・CCUS技術の実用化は必須です。現時点ではまだ大きいエネルギーコストの負担を少しでも削減しながら移転していく努力が重要です。

 また、CCS付きバイオマス発電(BECCS)や大気中のCO2を直接回収・貯留するDACCSなどの技術の活用も欠かせません。IPCCも空気中のCO2を除去するCDRは選択肢の1つではなく必要不可欠な技術と指摘しています。

 成長を続ける新興アジアの国々を中心に、国内に豊富に存在する石炭から、クリーンな天然ガスへと移行することは脱炭素化の最初のステップとなります。脱炭素化プロジェクトへのファイナンスや投資の支援も肝要です。

 行動変革等を通じた需要部門の削減強化も新たな課題となっています。エネルギーシステム部門と最終需要部門との連携強化はコストを低下させ低炭素エネルギーシステムへの移行を可能にします。変動性の高い再エネをオプションとして取り入れられるようになります。

 分散型エネルギーシステムの整備も重要です。コージェネレーション(熱電併給)システムはその核となる技術として、今後活躍の場が広がると期待しています。

 地域で脱炭素化を推進する際には、中央のシステムへの連携を考えるばかりでなく、地域で閉じてレジリエンスを高める発想も必要です。地域、国、国家間と異なるレベルで連携することで世界のカーボンニュートラル、世界の脱炭素化を目指すことが重要です。

 今、策定中のクリーンエネルギー戦略で、日本はそれに貢献しつつ、経済成長も実現するグランドデザインを描こうとしています。議論の行方に注目し、その中に盛り込まれたアイデア、技術をどう活用するかを考え、それぞれの企業の今後の事業に生かしていただきたいと思います。

原子力やCCUSも移行の重要な選択肢

 
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