実は、水素利活用の動きは日本よりも海外の方が進んでいます。かつて「日本は水素で世界をリードしている」とされていましたが、今はそう言える状況ではありません。私自身、その点に危機感を持っています。
欧州で、水素は電化が困難な分野に使うCO2フリーの燃料という位置づけが確立しつつあります。
コロナ禍からの復興、グリーンリカバリーも1つの契機となり、国策として水素に力を入れようという機運が高まっています。
ドイツは水素の国家戦略を策定し、1兆円超の投資を決定しています。トラックなど商用車での水素利用量の目標を明確に打ち出しています。米国も商用車中心に水素燃料電池に力を入れています。米国内に何カ所かのグリーン水素ハブをつくり、そこを基点に水素を普及させようとしています。
欧州連合(EU)は電解水素の製造能力を40ギガワットとする目標を掲げました。日本が福島県内に立ち上げた水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド」の製造能力は10メガワットですからケタ違いです。
中国は乗用車ではEVを、商用車では燃料電池自動車(FCV)を普及させようとしています。モデル都市を選定し、技術開発や普及状況に応じて奨励金を提供する政策を実施しています。
このように、世界では既に水素が脱炭素化の戦略物質になっています。
もちろん、日本も着実にこの分野で取り組みを進めてきています。コージェネ財団や関係する事業者の方々が奮闘し、家庭用燃料電池「エネファーム」の累積販売台数は40万台を突破しました。
業務用、産業用、家庭用で定置用燃料電池の技術開発も進んできました。現在、商用化されている民生用・業務用燃料電池の一部は、水素がいつ供給されても対応可能な“Hydrogen Ready"の状態にあります。
自動車用の固体高分子形燃料電池の技術開発も着実に進んでいます。FCVのこれからの主戦場は商用車です。耐久性で見ると乗用車が5000時間なのに対し商用車は5万時間もつ必要があります。技術開発すべき要素はまだまだあります。
これから水素の用途は列車、船、航空機へも拡大していきます。それにはカーボンニュートラルポート、カーボンニュートラルコンビナートの形成が不可欠です。最も重要なインフラが水素ステーションです。現在、国内では計画中も合わせると174基あります。全国の空白県を早急に埋めていく必要があります。
水素を運ぶキャリアも課題となります。液化水素、メチルシクロヘキサン、アンモニア、メタネーションなどがあります。例えばメタネーションはCO2フリー水素と回収CO2からCNメタンを生成する技術で、既存の都市ガスインフラを活用できます。
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