エネルギーセキュリティの面から、改めてJOGMECの立ち位置を確認していきたいと思います。日本にはなぜこういう機構が必要なのでしょうか。
世界の石油・ガス開発プレーヤーを見れば、米エクソンモービル、米シェブロン、英シェル、英BP、仏トタルエナジーズなど石油メジャーと呼ばれる非常に有力な民間企業があります。また、サウジアラビア、アラブ首長国連合(UAE)、ロシア、中国など産油国や産ガス国には強大な国営企業があります。
日本において同業となるプレーヤーはINPEXや石油資源開発(JAPEX)、JX石油開発、三井石油開発、出光興産などですが、残念ながら世界のメジャーや国営企業に太刀打ちできるような技術力、資金力はありません。民間の自主性だけに任せていては、日本はエネルギーや資源を十分に確保できないという危機感から、資金や技術をバックアップするJOGMECのような機構が存在しているのです。
かつて小泉純一郎元首相は「改革なくして成長なし」「民間にできることは民間に」「地方にできることは地方に」という基本理念の下で構造改革を推進しました。その代表例が郵政改革であり道路公団民営化などです。その過程で石油公団もやり玉に挙げられ、廃止の議論が出てしまいました。
当時の石油公団に是正すべき点があったことは確かです。責任主体の明確でない開発が多かったり、資産管理があいまいだったことがありました。ただ、小泉改革ではエネルギーセキュリティの概念を置き去りにしたまま、ほとんど議論もなく、石油公団を廃止する方向に突っ走ってしまいました。
当時、石油公団を所管する担当課の課長だった私は、公団が持つ意義を忘れ、日本道路公団や「かんぽの宿」と同列で石油公団をつぶす方向に走っていることに大きな危機感を覚えました。実際、石油公団と金属鉱物事業団との統合で発足したJOGMECは当初、かなりファンクションも制約されてしまいました。
その後、必要な機能の充実が図られて今日に至っており、今では、世界の各国がJOGMECのような機構をつくりたいと言い始めています。海外からJOGMECに多くの問い合わせがきます。かつて経済協力開発機構(OECD)や国際エネルギー機関(IEA)から「日本の産業政策は市場に介入している」と非難されていたことを知る私からすると隔世の感があります。