新たなファンクションが追加され、JOGMECは今後も日本のエネルギー・資源の確保に全力を注ぎます。それぞれの時代で必要とされるものを必要な形で日本に持ってくるというのが我々のDNAであり、この延長線上にあるものには果敢に挑戦します。
個人的には石油や天然ガスもまだ必要だと思っています。水素やアンモニアは二次エネルギーですから、何から作るかが問題です。米国や欧州、オーストラリアは再生可能エネルギーを使って作る「グリーン水素」や「グリーンアンモニア」の開発に向け莫大な支援策を講じています。これらが実現するのはそう遠くないかもしれません。
ただ、化石燃料の改質によって生成し、排出するCO2を回収・貯留する「ブルー水素」も、カーボンニュートラル実現に向けて重要なツールになると思います。JOGMECはグリーンかブルーかは問わず、可能性のある事業はすべて推進していきます。
セキュリティという観点からは、色々な国との関係構築が欠かせません。重要なのは信頼できるパートナーと事業を推進することです。
ロシアのウクライナ侵攻には考えさせられることが多々ありました。ロシアは欧州とアジアにまたがる国で、半分は欧州の国と言えます。欧州というのはルールやスキームを大事にする文化ですから、ロシアも契約概念に従った行動をする国だという思いがありました。ところが、結果はご存じの通りです。
一方、世界にはルールもスキームも関係なく、国益のためには事実をねじ曲げてでも力で対応するという国もあります。よく見極めて関係をつくっていかなくてはなりません。
安倍晋三政権が「インド太平洋」という概念を打ち出し、日本、米国、オーストラリア、インド4カ国による「Quad(クアッド)」の枠組みを構築したのは大変立派な功績です。価値観が似ていて安心・信頼できる国とうまく付き合っていくことも重要なセキュリティです。もう1つ重要なことは、多様なオプションを持つことです。資源のない国においては「あれはダメ」「これはダメ」と言わず、多くのオプションを備えるのです。それ自体がセキュリティです。JOGMECは拡大いただいたファンクションを十二分に活かし、国民の付託に応えていきたいと考えています。
今のJOGMECが完成した最終形だとは思いません。これからも時代の変化によって、持つべきファンクションが出てくることでしょう。ニーズを的確に把握した上で対応していきたいと思います。
最後にひとつだけ皆様に理解いただきたいことがあります。それは「リスクマネー」の意味です。エネルギーもメタルも、その開発というのは、いくら事前のサーベイを尽しても「掘ってみないとわからない」という要素のある事業です。その意味で、それを行うこと、そしてそれを支援するということは「当たりはずれ」が避けられないということです。しかも、はずれは比較的すぐ分かるものの、当たりとなって成果が出るのには相当な時間がかかります。従って、法人としては損が先に立ち、収益はずっとあとになるという財務的宿命を負っています。制度上、年度毎にB/Sなどを評価されるため、往々にして「公金を使いながら損失を出すのはけしからん」とのお叱りをいただくことが多いのですが、是非長い目で評価をいただきたいと思います。私たちもそれを念頭に、適切な資産管理を行ってまいります。
今はグリーントランスフォーメーション(GX)の実現に向けて、多額の予算も用意され、大々的に政策が展開されています。私たちも持っている強みを活かしながら、日本が向かうべき方向へと進むことに貢献してまいります。
