ここからはNEDOの具体的な取り組みを紹介します。
2兆円規模の予算で取り組んでいるのが、GI基金事業です。カーボンニュートラルに向けた研究開発とその社会実装に向けた企業の挑戦を最長10年間後押しするもので、14の分野で野心的な取り組みを進めています。
支援先の経営者に対しては、経営課題として取り組むことへのコミットメントを求めています。また、目標達成に向けて国費負担額を変動させるインセンティブ措置を導入するなど、成果最大化に向け、高い目標への挑戦を促すような仕組みを設けています。
GI基金事業では、これまでに20のプロジェクトが立ち上がり、約2兆3000億円の拠出が決定しました。
この中から、コージェネレーション(熱電併給)システムでの利用が期待できる水素燃料、アンモニア、カーボンリサイクル燃料の動向を説明します。
カーボンニュートラルのキーテクノロジーとして国内外で期待が高まるのが水素です。水素エネルギーを社会で広く使うためには、大量かつ安定的に低コストで作り、ためた水素を様々な場所に運び、使うための設備が普及していくことが必要です。GI基金事業では、「つくる」「ためる・はこぶ」「つかう」という各場面に対応するプロジェクトを進めています。
1つが再エネ由来等の電力を活用して水電解による水素製造を行うプロジェクトです。アルカリ型と固体高分子PEM型の水電解装置の大規模化やモジュール化などに必要な技術開発を行っています。
アルカリ型水電解装置の開発では、大規模化に向けたパイロット水電解試験設備の設計等が完了しました。PEM型水電解装置の開発では、実証フィールドの選定を完了し、建設工事に着手しています。
水電解装置の性能評価技術の確立にも取り組んでいます。これまでに策定した設備仕様に基づき、現在、拠点整備の工事などを実施しています。さらに、水素分野の国際標準化に速やかに対応できるよう、国内委員会の体制を構築しました。
大規模水素サプライチェーン構築のプロジェクトも進めています。「2030年に化石燃料と同程度の供給コスト」とすることを目標に、水素の大規模需要の創出と供給コスト低減の好循環の構築を目指しています。水素運搬船を含む輸送設備の大型化とともに、水素を発電に使うため、水素の燃焼安定性に関する実機での実証などに取り組んでいます。
この事業では、水素キャリアとして、液化水素とメチルシクロヘキサン(MCH)を採用しています。実証に向けた候補地域の選定や技術的な検討を進めており、水素発電に関しては、混焼・専焼どちらの技術開発にも取り組み、実証に向けて準備を進めています。必要な水素の確保、関連設備の検討、実証場所の選定、許認可の必要性の確認など、順調な進捗を得ています。