スペシャルリポート

ENEOSグループの
カーボンニュートラルへの取り組み

海外の安い再エネ、水素を使い日本に持ち込む

 最後が「水素等の利活用」です。

 再生可能エネルギーを主力電源化しようという取り組みが進んだ結果、九州や北海道の一部では、時間帯によって再エネから発電した電気が余る状況が出てきました。我々は、この余剰電力を水素にしようと考えています。発電の燃料にしてもいいし、合成燃料を作ることもできます。

 日本の再エネは発電コストが高いという問題があります。規制や既得権益の問題もありますが、それ以前に、日本の地理・気象条件は再エネには不利です。砂漠はないし、欧州のように偏西風が年中吹いているわけでもありません。人間が住むには四季が豊かで極めて良い場所ですが、再エネの創出にはあまり向きません。

 かつて石油の時代には、「日本は石油を産出できず不利」といわれていました。実際には、産油国は限られた一部の国で、それ以外の消費国は同じ条件で勝負できた良い時代だったと言えます。石油という運びやすい国際市況商品が存在することで、消費国間ではある程度公平な競争ができました。

 カーボンニュートラルを旗印に石油が使えなくなると、エネルギーを自給自足する国が増えます。再生可能エネルギーは米国でもヨーロッパでも中国でも、世界中どこでも作ることができます。エネルギーコストが高くなってしまう国は日本、韓国、シンガポールぐらいです。このままでは日本の産業競争力はさらに弱り、海外に産業が逃げていってしまいます。

 我々は海外の安い再エネを、お金をかけてでも日本に運ぶことが必要だと思っています。そこに水素や合成燃料の活用を考えています。再エネから生み出した水素をCO2と反応させて合成粗油を作れば、今の石油と同じように化学品からガソリン、ディーゼル、ジェット燃料など何でも作ることができます。

 ENEOSは国の支援をいただいて中央技術研究所に合成燃料製造実証プラントを作りました。グリーン電力から作った水素とCO2を原料とした合成燃料の一貫製造が可能な日本初のプラントです。

 合成燃料の認知度を向上する取り組みも進めています。2024年のプラント完成式典には国会議員の皆さんにも来ていただきました。現在開催中の大阪・関西万博では、シャトルバスなどの燃料として使っています。シャトルバス用の燃料は5%の混入から始め、どんどん割合を高めています。今後も割合を上げる考えです。

 今、我々はエネルギーの在り方、社会の在り方を見直さざるを得ないターニングポイントに来ています。脱炭素社会実現に向けては、色々な可能性を追求する必要があります。ただ、エネルギー供給の基本である「S+3E(安全性、経済性、環境性、安全保障)」をないがしろにすることはできません。

 炭素を敵と捉えるのではなく、適切に管理して利用する方が合理的です。ENEOSは、それを可能とする技術開発と社会システム構築に挑戦します。エネルギー産業にとっては大変厳しい状況ですが、将来の自然、社会、事業、人のための礎を築いていると信じ、皆さまと連携を強めつつ、研究開発や事業検討を進めていきます。

海外の安い再エネ、水素を使い日本に持ち込む

 
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