柏木:データセンターのように需要が一定の用途向けなら、100MW~200MWのSMRを導入し、近隣エリアにも電力を提供したいと考える事業者も多いのではないでしょうか。そうなると、実用化までの時間軸が気になります。中国は商用機を出し、ロシアは海洋に浮体式のSMRを作っていますが、どんなタイムスケジュールになるのでしょうか。また、高市早苗政権は「成長戦略」の中で、核融合(フュージョン)を17の戦略分野の1つに位置づけました。技術者としてどう見ていますか。
岩城:米国では、軽水炉タイプのSMRは既に計画が具体化しており、2030年代に運開の見通しです。10 MW以下の超小型炉はその先の実用化となります。核融合は国際的にも技術進展が目覚ましく、当然、日本も研究開発に注力すべきです。しかし安定的な電力供給までの技術的なハードルは高く、国際協調もしつつ、オールジャパンで取り組むべきというのが個人的な意見です。
日下部:日米政府は米国の関税引き下げと引き換えに5500億ドルの対米投資で合意しました。2025年末に日米政府が発表した対米投資計画にはSMRが入っています。規制当局が動き、民間の多くのIT関連企業が資金を投入するなど、米国のマーケットではSMRに対して既に大きな動きが出ています。想像以上に早く進むような気がしています。
柏木:先ほど岩城さんが話をしたように、脱炭素に向けては点ではなく面での技術開発を進めることが重要です。つまり都市開発が関係してきます。大規模電源をベースにしつつ、地域の小型の分散型電源を活用し、VPPで電気と熱をうまく使いきるという姿が求められると思いますがいかがですか。
日下部:経済産業省は今、電力(ワット)と通信(ビット)のインフラを一体的に整備・運用する「ワット・ビット連携」に取り組んでいます。大規模電源の整備には大変な時間がかかります。DXやAI、データセンターの整備とスピード感が全く合わないのです。その隙間を埋めるのがコージェネなどの分散型技術です。地政学的なリスクもなく、送配電ロスもない。これからこうした分散型ネットワークの構築は弾みがつくと思います。
柏木:日本が構築すべきエネルギーシステムを考えた時、都市と地方ではあり方が変わってきます。それぞれの方向性をどう考えますか。
岩城:地域ごとに多様なエネルギーのあり方があるべきと考えています。気候、地形、産業構造、既存インフラと、地域によって条件は大きく異なります。そのため、各地域の特性を活かした脱炭素戦略を構築することが重要だと思います。
日下部:おそらく電気代は「一物一価」ではなくなるでしょう。今、米国で起こっている現象を見ると、「データセンターを早急に建設し電源を整備したいと思うならプレミアムを払え」と求め、それに対してオペレーターが「喜んで払います」という方向になっています。電力需要が爆発すれば機動性、即時開発性が勝負です。コージェネのように小回りがきいて、需要に即時に対応できる電源にはプレミアムを払うという議論が出始めると思います。
