スペシャルリポート

アフォーダブルで持続可能な低炭素エネルギーシステム
全ての選択肢を削らず脱炭素技術の開発を

求められるのはシステム思考力

柏木:最後にアフォーダブルで持続可能な低炭素エネルギーシステムについて、一言ずつお願いします。

岩城:日本は優れた技術が数多くありますが、まだその潜在力を十分に活かしきれていないと感じています。個々の技術を“点”として扱うのではなく、全体を“面”として捉え、最適に組み合わせていく視点が必要です。また、海外展開によって世界のカーボンニュートラルに貢献し、日本のプレゼンスを示すことも求められます。

 それぞれの地域で経済循環を考えつつカーボンニュートラルのグランドデザインを描くには、個別の要素技術だけでなく、全体を俯瞰したシステムとして考え評価することが必要です。今後のエネルギー戦略の構築にはシステム思考力が重要だと強く感じます。企業で研究開発に携わってきた者として、また日本機械学会会長として、システム思考力を持つ人材の育成がますます重要になると実感しています。

 脱炭素社会への移行では、国民一人ひとりの利益と結びつけてビジョンを示すことが求められるのではないでしょうか。例えば社会の安心・安全、生活の質の向上、Well-being と表現される一人ひとりの多様な幸せといった価値と結びつけ、社会変革と脱炭素を一体として捉えて推進していく必要性を感じています。

日下部:GXとDXが一体であることを考えると、要になるのが金属・素材産業です。金属・素材産業でどれだけ安定的かつ自律的なサプライチェーンを構築するかが重要なポイントです。石油公団と金属鉱業事業団が合体して発足したエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)が行う金属備蓄の仕組みは、世界の垂涎の的で、欧米は今からやろうとしています。日本には金属・素材産業のプレーヤーがいて、インフラがあり、政府の仕組みもある。GX、DXの基盤は十分にあります。

 もう1つ、安定的なエネルギー戦略の実現には、金融の革新も求められます。長期の電源開発には民間のファイナンスがつきにくい時代です。それに対して、どういう金融の仕組みを構築するのか。また、米国のように、ベンチャーの新しい技術に民間資金が集まる仕組みも必要になってきます。

柏木:インフラ整備を伴うエネルギーシステムは、数十年という時間をかけて変わっていくものです。現実的なトランジションとして低炭素型に持っていく。ただ、そこでとどまるのではなく、脱炭素を常に念頭に置く。それによって世界の中で互角に戦い、かつ勝ちに回れるシステムが構築できるのだと思います。電力需要が増える中、スピーディーに提供可能な分散型エネルギーは有力な解です。コージェネの活躍の場はさらに広がりそうです。

求められるのはシステム思考力

 
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