柏木:インフラに関していえば、熱導管や電力の自営線、通信用の光ファイバーを敷いた「熱導管&ワイヤー&ファイバー」が整えば、めざすべきエネルギーの地産地消がずいぶん進むと思います。この点、設計の立場の千鳥さんはどうお考えになりますか。
千鳥:インフラを構築するには高いコストがかかります。最終的にはコストとの兼ね合いになります。都心部等のエネルギー需要が大きなエリアでないと難しいかもしれません。
柏木:最近はESG(環境・社会・ガバナンス)投資も盛んです。産業・生活に必要不可欠なエネルギーシステムに絡むものでもあり、資金の調達はしやすいのではないでしょうか。
千鳥:投資の魅力が明確になれば、お金を呼び込むことはできると思います。大事なのはエネルギー単独のプロジェクトとするのではなく、文化や産業を包含するような仕組みにすることです。そうなれば「プラスアルファの新しい価値を生み出しそう」と投資の機運が高まるのではないでしょうか。
豊田:ドイツのシュタットベルケを見ても、エネルギー以外にもいろいろな事業を手掛けています。エネルギー事業だけをやろうとするのは限界があります。幅広く考えて、全体としてどう採算を取るかという視点が必要です。
柏木:コージェネの普及は景気の動向と大いに関係します。2020年に東京オリンピック・パラリンピックを終えた後の国内景気が気になるところです。千鳥さん、建築需要はオリンピック終了後もしばらく継続しそうですか。
千鳥:特に大都市においては、多くのプロジェクトが予定されています。しかも、一つひとつのプロジェクトの規模が大きくなり、設計も工事も長くかかるものが増えています。設計・建設需要は潤沢にあると感じています。
柏木:日本のインフラは代替時期に差し掛かっています。そのタイミングでデジタル化、スマート化、自由化が進んできました。大規模電源一辺倒のエネルギーシステムから、再生可能エネルギーやコージェネ、水素なども取り込んだ分散型電源が一定規模で共存するエネルギーシステムへと変革していく必要があります。日本はその先駆者としてシステムをつくり上げ、海外にその都市全体を輸出し、成長産業へと発展させるべきだと再認識できたことと思います。
本日は貴重なご意見をいただきありがとうございました。