柏木:これからの街、都市は大規模電源に頼り切ることなく、再エネやコージェネのような自立分散型電源を導入し、電気や熱を面的に融通し、低炭素・脱炭素に向かうことが必要です。既にさまざまなプロジェクトが登場していますね。
千鳥:私たちが設計に参加した東京・田町駅東口北地区の「田町スマエネパーク」では、再エネ、コージェネを含む自立分散型エネルギーシステムを構築しています。エネルギーセンターから公共施設、病院、児童福祉施設に熱や電気を送っています。ICT技術を使って、エネルギーセンターに加えて各建物の情報も収集し、地域全体のエネルギーを最適化しています。
「日本橋スマートエネルギープロジェクト」は15ヘクタールの範囲の建物に電気と熱を供給することをめざしています。日本で初めて、既存の周辺街区にもエネルギーを供給する事業で、面的な省エネとBCP対応を推進しています。
豊田:温暖化のことだけを考えればいい国と、災害に見舞われることが多く強靱化を考えなくてはいけない国では当然やるべきことが変わります。
分散型エネルギーシステムと強靱化システムをデジタライゼーションで結びつけることができれば、災害が多いアジアでの展開も視野に入ります。高温、干ばつ、豪雨などの気候変動、異常気象は全世界的に広がっています。日本は言ってみれば災害先進国ですから、ここでつくり上げた新しいインフラ、新しいシステムは世界でも誇れるものになると期待できます。
柏木:生活の基盤となるエネルギーから生まれたビッグデータをAI(人工知能)で解析すれば、見守り、駆けつけ、ケータリングなど新たな付加価値ビジネスも生まれます。レジリエンス性が高ければ、地域の不動産価値向上が期待できます。
エネルギーシステム構築に当たっては、直接的便益(エナジーベネフィット)だけでなく、間接的便益(ノンエナジーベネフィット)にも注目すべきですね。
千鳥:その通りです。省エネはもはや当然のこと。プラスアルファの価値創出が必要です。快適に過ごせる、健康に仕事ができる、生産性が上がるといった目に見えないメリットによって、建物や街、都市のイメージは向上します。そういう付加価値を提供するという視点が求められていると思います。
日本設計は札幌市の「エネルギーマスタープラン」策定をお手伝いしましたが、その際には「低炭素」「強靱」「快適・健康」のテーマで、取り組む施策をSDGs(持続可能な開発目標)の17のゴールで整理し、プラスアルファの価値についての情報を発信しました。
