柏木:こうした長期的なエネルギーの方向性を踏まえ、これからの都市づくり、街づくりにも大きな注目が集まります。建築や設計の現場では今、どのようなエネルギーシステムが求められているのでしょうか。

千鳥 義典 氏(ちどり よしのり)
日本設計代表取締役社長執行役員
1955年東京都生まれ。78年横浜国立大学工学部建築学科卒業。80年横浜国立大学大学院工学研究科修了、同年日本設計事務所(現・日本設計)入社。2011年取締役常務執行役員に就任。12年取締役専務執行役員国際代表を経て13年より現職。主な作品に国立新美術館、長崎県新美術館、きらら元気ドーム、渋谷マークシティ、中国天津泰達MSD複合開発、中国無錫総合交通ターミナルなど。
千鳥義典氏(以下敬称略):都市・建築分野におけるエネルギーシステムの動向は3つのキーワードで整理できます。第1に省エネ・脱炭素、第2にレジリエンスやBCP(事業継続計画)・BCD(事業継続地区)、第3が需給連携・地産地消です。特に第2、第3は日本ならではの動向といえるかもしれません。地震、噴火、台風など災害の多い日本で、厳しい基準で備え、中央集約型中心のエネルギーシステムに、いかに再エネを含めた分散型エネルギーシステムを組み込んでいくかが課題となっています。
私たちが手掛ける業務には建物単体から街づくり、さらに都市づくりとさまざまなスケールがあります。単体の建物の建築でテーマとなるのは地産地消で、消費するエネルギーをゼロにする「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)」などが求められます。よりスケールの大きな街づくりでは需給連携がテーマとなり、スマートエネルギーネットワークの構築が必要となります。都市づくりでテーマとなるのは持続可能性。スマートシティー実現に向けた取り組みが進んでいます。
私たちはエネルギー分野に対して当初、一般建築物の需要側という立場からアプローチしていました。しかし、今は需給連携など、供給側も含めた全体最適化の視点からのアプローチが必要になっています。一段上のステージでエネルギー分野での貢献をしなくてはいけないと思っています。

「建築」、「街区」、「都市」、さまざまなスケールでの取り組み