山﨑:脱炭素社会の実現に向けては、新しい取り組みも求められると思います。どのようなアプローチを取っていきますか。
村上:先ほど紹介した製品やシステムは、低炭素化をめざすものです。脱炭素に向けては水素がキーワードになると考え、川重が持つ技術的な基盤をつなぎ合わせて水素チェーン構築に動いています。具体的にはオーストラリアの未利用資源である褐炭から水素を製造し、水素を液化して日本に運搬し、各地に供給したいと考えています。
昨年度は水素を使った熱電供給の実証事業を実施しました。神戸ポートアイランドに水素ガスタービンコージェネを設置。発生する熱と電気を周辺のスポーツセンターや国際展示場、下水処理場、市民病院に供給しました。有効なスタディができたと考えています。
現在、神戸空港島に液化水素の受け入れ基地を建設中で、2020年度に水素エネルギーサプライチェーンの要衝となることをめざしています。並行して、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を低減しながら、効率向上をめざした水素ガスタービンの開発も進めていきます。2030年以降、水素は日本を支えるエネルギー源の1つになるはずです。水素普及を進め、持続可能なエネルギー社会実現に貢献したいと思います。

川崎重工業:CO2フリー水素チェーンのコンセプト
前谷:北ガスは天然ガスコージェネ、メガソーラー、木質バイオマス発電、高効率ガス発電など環境負荷を低減する電源構成を整えていますが、脱炭素に向けては木質バイオマス発電が1つの道になると思っています。苫小牧の木質バイオマス発電所では燃料の100 %を未利用材とし、定期間伐した時に発生する林地残材を使っています。
再生可能エネルギーを熱の低炭素化に生かす取り組みにも挑戦しています。太陽熱、地中熱をコージェネの排熱と組み合わせて利用するものです。自然由来のエネルギーのため出力が不安定な面はありますが、ガスエンジン側が柔軟に対応することで最適な組み合わせをめざしています。
山﨑:最後に、今後の事業展開について、意気込みや抱負などを一言ずつお願いします。
佐々木:デンマークにおける熱供給は、入力側が再エネ化していくことで、供給配管以降は変更なく対応しています。当社も自らの省エネ・未利用熱活用の努力は継続し、長期的に入力の再エネ化とともに、脱炭素社会に向けて貢献していきたいと思います。
前谷:北海道では昨年9月、北海道胆振東部地震の発生により、日本で初めてのブラックアウトが起きました。幸いガスの製造設備に大きな被害はなく、BOS(ブラックアウトスタート)機能を備えたコージェネからは避難に必要な電気と熱の供給を続けることができました。改めてコージェネのレジリエンス性への評価が高まりました。
コージェネの価値は建物単位での電気と熱の最適化から始まり、面的活用、逆潮流によるネットワーク全体での活用と進んできましたが、今はデジタル化してICTを駆使しながらデマンドサイドと合わせて最適化するという新たなステージに入ったと考えています。ブラックアウトで自立・分散型エネルギーシステムの重要性を改めて認識したところであり、今後一層その価値の訴求に努めたいと思います。
村上:川重が進めている水素の普及には政策的な支援も必要です。「インフラが整うのが先か」「使い手が増えるのか先か」が議論になりがちですが、私は両輪で進めなくては前進しないと考えています。関係する企業、官庁、ユーザーなど社会全体で進んでいくことを期待しています。
川又:都心部、地方、海外などさまざまな事例から、脱炭素化に向けたコージェネの重要性を再認識した1日になったと思います。北海道でのブラックアウトで明らかになった通り、国土の強靱化(レジリエンス)を進めるには自立・分散型電源を増やす必要性があります。さまざまな側面から、分散型エネルギーの構築を進めていかなくてはいけないと改めて感じています。
山﨑:さまざまな情報を提供いただきました。今後のエネルギーインフラ構築や街づくりの参考にしていただきたいと思います。
