スペシャルリポート

グリーンイノベーションによる経済成長
官民連携しスマートエネルギー社会実現を

地産地消型エネルギーで地方創生を実現

柏木:安倍政権が任期終了前に一層の力を注がなくてはならないのが地方創生です。人口が減少する中でいかに地方を活性化するのか。解の1つが地産地消型エネルギーシステムの構築だと思います。地域の自然エネルギーを取り込み、調整用にコージェネシステムや蓄電池を導入し、デジタルで上手に需給調整できる分散型エネルギーシステムを構築すれば、地域にお金が循環します。税収増によって地方経済は潤うし、土地の価値も落ちない。ゆとりと豊かさを実現する地方創生につながるのではないでしょうか。

赤石:人口減少の中で地方創生を実現するためには、地方の構造そのものを変えなくてはいけません。つまり、強靱性があり安心・安全なエネルギーシステムを備え、かつプライバシーやセキュリティーが守られたスマートシティーを構築していくことが課題になります。私はスマートシティーを日本政府が目指すべき未来社会として提唱している「ソサエティー5.0」の実現形ととらえています。そこで重要なのは電気だけでなく熱の利用を考えること。そして消費側の世界をきっちりつくっていくことです。ビルや車などすべてがネットワークでつながった中で全体最適化したアーキテクチャーをつくっていかなくてはなりません。

 スマートシティーは日本だけが酔狂に推進しているわけではありません。インドネシアは首都を現在のジャカルタから移転します。フィリピンもマニラから首都機能を大きく移しつつあります。サウジアラビアは57兆円を投じて最先端都市を建設します。それらの背景にあるのは、エネルギーを含め、強靱な都市をつくることです。

 昨年、スマートシティーの実現に向けた国際的な枠組みとして「グローバル・スマートシティ・アライアンス」を立ち上げました。アーキテクチャーを統一し、お互いがソリューションを共有できるようにしたい。真剣に世界の都市と議論を進めているところです。

 また、政府は理想の未来社会を先行実現する「スーパーシティ」構想の実現も目指しています。スーパーシティは国家戦略特区のスマートシティー版。自治体は地域の個性を生かしたスマートシティー建設という夢を抱いてほしいと思っています。

柏木:スマートシティーを立ち上げる上でも金融の力は不可欠です。銀行はスマートシティーについてどう見ていますか。

原田:今、お話があったように、スマートシティーの最終形についてはプラットフォームで考えることになるのかもしれません。ただ、そこに含まれるプロジェクトや事業はそれぞれの事業体が担うことになります。例えばVPPはどこでどうお金を稼ぐのかということを見極めた上でファイナンスを行うことが必要です。社会性があり公益にかなうものであっても、財務的にサステナブルでなければ、かつての第3セクターのように行き詰まってしまいます。その点でドイツのシュタットベルケは非常に参考になります。

 地産地消型のエネルギーシステムで有名なのが千葉県長生郡睦沢町です。昨年9月の台風15号で千葉県内では大規模停電が起きましたが、睦沢町では電力供給が途絶えることがありませんでした。地元で産出する天然ガスを利用し、ガスコージェネシステムを導入した地産地消型のエネルギーシステムを構築していたからです。睦沢町と地元企業が設立した新電力が当初事業を立ち上げた際には補助金が入っています。補助金もローンやファンドと組み合わせることでサステナブルなモデルをつくることは可能です。きちんとマネタイズする仕組みができているかどうかが重要です。

 今、私たちは地方銀行とも一緒にファンドをつくり、リスクマネーを供給することに力を入れています。

地産地消型エネルギーで地方創生を実現

 
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