柏木:お金が回らなければイノベーションを起こすことはできません。日本政策投資銀行が地方のプロジェクトや事業について収益が上がるか否かを見極めた上でファンドをつくり、地銀とともにファイナンスを行うというスキームは地方創生の実現にも地銀の改革にもつながりますね。それができるのはエネルギーインフラという誰もが使うものへの投資だからです。日本再生の1つの決め手となる気がします。
最後にグリーンイノベーションと経済成長について、お考えになっていることを一言ずつお願いします。
原田:金融機関はコンサバティブな人間が多く、夢を語るのは下手なところがあります。リスクを数えるのは得意ですが、その中にどんなイノベーションがあり、どうやったらお金になるのかという前向きなことをきちんと判断し、ファイナンスをしていかないと新しい世界は見えてきません。金融機関も投資家も可能性に賭けるという姿勢が重要だと実感しています。
赤石:この数年で破壊的イノベーションは現実のものとなりつつあります。ぜひその破壊的イノベーションについてきていただき、社会的にどう実装しマネタイズするかを必死に考えていただきたい。
かつて太陽光発電で日本勢は発電効率を上げることばかり一生懸命に考え、その間に海外勢がシステムをつくり込み、コストを引き下げて市場を席巻してしまいました。この失敗を繰り返してはいけないと思っています。
柏木:自動車の世界では自動運転技術の進化とともに「MaaS(Mobility as a Service)」が浸透し、産業構造ががらりと変革しつつあります。これからはあらゆるものがネット経由でサービスとして提供される「XaaS(X as a Service)」の時代に突入するといわれています。これはエネルギーの世界にも当てはまります。
新たなエネルギーシステムの中で付加価値ビジネスを生み出すモデルを作り、環境と成長の好循環を実現していただきたいと思います。
