スペシャルリポート

我が国のカーボンニュートラル戦略
「エネルギー革命」を日本の成長・発展の契機に

「2030年46%減」に向け省エネ量を2割積み増し

田辺新一(たなべ・しんいち) 氏
田辺新一(たなべ・しんいち) 氏
早稲田大学建築学科教授
1958年福岡県生まれ。82年早稲田大学理工学部建築学科卒業。同大学大学院修了。84~86年デンマーク工科大学研究員。92~93年カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員。92~99年お茶の水女子大学助教授。96年ローレンスバークレー国立研究所訪問研究員、99年早稲田大学理工学部建築学科助教授。2001年から現職。日本建築学会会長、経済産業省資源エネルギー庁基本政策分科会委員、同省エネルギー小委員会委員長、早稲田大学スマート社会技術融合研究機構住宅・建築環境研究所所長などを務める。専門は建築環境学。快適性と省エネルギーのバランスに興味を持つ。主な著書に『住環境再考』『ゼロ・エネルギーハウス』(萌文社)など。

柏木:今、ESG投資は世界で3000兆円に上ると言われています。EUはEUタクソノミーでその資金も向けさせ、新たな革命の方向に牽引しようとしているのですね。

 菅政権は昨年の「50年カーボンニュートラル」宣言に続き、今年4月に30年度の温室効果ガス削減目標を、従来の13年度に比べ26%減から46%減へと大幅に引き上げる方針を示しました。これについてはどうお考えですか。

小鑓:46%という数字は国際的な〝相場観〟から出したものだと思います。従来の日本は目標に責任を持つため、積み上げ型の政策によって数字を出していました。今回は欧米、中国などでカーボンニュートラルの勢いが強くなる中、国際的に認められる数字を出さざるを得ないと判断したのだろうと思います。

柏木:政府は現在、「第6次エネルギー基本計画」を策定中です。「50年カーボンニュートラル」「30年46%減」と整合の取れた内容としなくてはなりません。まず手をつけたのが一層の省エネです。田辺さんは現在、経済産業省エネルギー小委員会委員長を務めていらっしゃいます。最前線で相当苦労したのではないですか。

田辺:経済産業省は省エネ量の目標を従来の原油換算5030万klから深掘りし、6200万kl程度とする方針を固めました。これは本当に大変なことです。

 従来の目標だった5000万kl超とは日本の住宅で使っているエネルギー総量に相当します。それをゼロにした上で、さらに2割を積み増して削減しようというのが今回の目標です。

 これまでも日本の製造業は「乾いたぞうきん」と言われるほど省エネを徹底してきました。ふだんの生活においても、一人ひとりが省エネを心がけて暮らしているはずです。その中で、一層の省エネを推進しようというのですから相当な努力が必要です。

 
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