スペシャルリポート

地域でのエネルギーシステム
まちづくりの中で脱炭素性・強靱性の向上を

停電時にもコージェネが電気で明かりをともした

武田:パシフィックパワーは自治体との共同出資による地域新電力会社を設立し、運営を支援していらっしゃいます。魅力ある地域づくりや地域振興につながった事例はありますか。

合津 美智子(ごうづ・みちこ) 氏
合津 美智子(ごうづ・みちこ) 氏
パシフィックパワー 代表取締役社長

合津美智子氏(以下敬称略):パシフィックパワーは現在、13の自治体新電力会社を手掛けています。すべてにおいて、電気の小売り事業を手掛けるだけでなく、地元企業とともに地域課題の解決や地域振興に資する事業展開しています。

 事例の1つがCHIBAむつざわエナジーの「むつざわスマートウェルネスタウン」です。道の駅、温浴施設、若者定住住宅から成る拠点に、85 kWのコージェネシステム2台と太陽光発電、太陽熱温水器を導入し、自営線を敷設しました。地域資本の新電力が電気と熱を面的供給するのは日本初で、日本版シュタットベルケに向けた事業多角化の第一歩ととらえています。

 実はむつざわスマートウェルネスタウンが開業した1週間後の19年9月に台風15号が千葉県を直撃し、睦沢町はほぼ全域が停電。周囲が停電で真っ暗となる中、コージェネが稼働したこの一角だけは電気で明かりをともすことができました。温浴施設は周辺の町民に開放し、利用いただきました。

 むつざわのケースでは、道の駅の建て替えという機をとらえてマイクログリッドを導入しました。再開発というタイミングだからこそ、小さな区画内で機能を集約させて最適なエネルギーシステムを導入することができたのだと思います。

武田:機会に恵まれた面もあるということですね。菊池さん、このようにタイミングを見てコンパクトシティ化を誘導することも必要なのでしょうか。

菊池:都市開発の機会を見つけて一体的に効率的なエネルギーシステムを導入するというのは大事なことです。機を逸しないためにも、常に意識を持ち、都市開発の際には検討する仕組みや体制と整えておくことが必要です。

 例えば長野県小諸市では市役所建て替えと合わせて郊外にあった病院や図書館、市民交流センターを近くに集約し、事業者が熱融通を図るなどエネルギーサービス事業を提供しています。静岡県浜松市も駅周辺の区画整理に合わせて地域熱供給を行い、面的エネルギーの利活用を行っています。

 コンパクトシティ化は地方都市でも中山間地域でも大事です。その際にむつざわのような取り組みができれば、レジリエンス面からもエネルギー面からもメリットがあります。

■ パシフィックパワー:自治体新電力が目指す姿
■ パシフィックパワー:自治体新電力が目指す姿
 

 
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