スペシャルリポート

地域でのエネルギーシステム
まちづくりの中で脱炭素性・強靱性の向上を

「地域脱炭素化」に向けたエネルギーインフラ構築を

武田:政府の「国・地方脱炭素実現会議」は、今年6月に「地域脱炭素ロードマップ」を取りまとめました。これから脱炭素の先行地域をつくっていく際にはエネルギーインフラをどう構築するかが課題となります。

 ヤンマーエネルギーシステムは顧客企業の省エネルギー、省CO2、省コストを実現する「創エネ」「再エネ」「熱電」のエネルギーソリューションを提供しています。特にバイオマスエネルギーの活用が進んでいるようですが、具体的にどのような事例がありますか。

栄 孝典(さかえ・たかのり) 氏
栄 孝典(さかえ・たかのり) 氏
ヤンマーエネルギーシステム
開発部 部長

栄孝典氏(以下敬称略):ヤンマーエネルギーシステムはこれまでに全国にバイオマス発電機を172カ所に導入しています。

 静岡県の温泉に向けては、温泉井戸から発生する自噴ガスを活用するコージェネを導入しました。以前は大気中に放出していた自噴ガスを燃料として発電を行い、排熱を利用することで3880トンのCO2を削減しています。災害による停電時にも電力を供給するなど、地域の防災施設としても役割を果たしています。

 食品加工業向けに、食品残渣からバイオガスを生成し発電に活用した事例もあります。廃棄物処理量は10分の1に減り、省エネ、環境性を実現し、また売電による収入も得られると高い評価をいただいています。

 浄化センター向けには少量の未利用バイオガスの有効活用をサポートしました。初期コストゼロでヤンマーエネルギーシステムがバイオガス発電施設を設置。事業者からバイオガスを購入し、発電した電力を販売することで収入を得る「ヤンマーエナジーファーム」という新しいスキームを提供しました。

 カーボンニュートラル社会に適合する新しい取り組みとして、「もみ殻ガス化発電システム」も始まっています。農業残渣のもみ殻をガス化しエネルギーに変換するシステムで、焼却後にできる「くん炭」を農地に還元し資源循環型農業を実現します。現在は実証試験中で、年間200トンのもみ殻処理を想定して商品化を進めています。

 バイオエネルギー、水素、カーボンニュートラルメタンなどが世の中にどう普及するかを見ながら、お客様に最も適したソリューションを提供したいと考えています。

武田:各自治体も「カーボンニュートラル宣言」を出すなど脱炭素化に向けた取り組みを検討し始めています。ただ変動成分の多い再エネを大量導入するに当たっては、調整力も必要です。コストの問題もあります。自治体は何を考えておく必要がありますか。また、その担い手は?

合津:エネルギーは長い目で見るべき事業です。また、利益ばかりを追求するのではなく、「地域のためになる」という視点も取り込むことが必要です。自治体だけでも、地元の民間企業だけでも実現できることではありません。地元企業と連携し、協力しながら地域の脱炭素を図ることが必要です。自治体と民間が連携した事業体があると理想的だと思います。そこを支えるのが我々新電力であったり、地方のガス会社などのエネルギー企業だと思います。

■ ヤンマーエネルギーシステム:エネルギーの地産地消の取り組みについて
■ ヤンマーエネルギーシステム:エネルギーの地産地消の取り組みについて
 

 
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