スペシャルリポート

地域でのエネルギーシステム
まちづくりの中で脱炭素性・強靱性の向上を

再エネ導入が進めやすい地域のカーボンニュートラル

武田 晃成(たけだ・あきなり)
武田 晃成(たけだ・あきなり)
コージェネ財団 専務理事

武田:再エネを先進的に取り入れている国の1つにデンマークがあります。面積は4万3000m2と九州と同じぐらい、人口は570万人と福岡県と同じぐらいです。人口密度が低い地域の方が、エネルギーを「創る」「使う」のバランスが取りやすく、カーボンニュートラルを実現しやすいと言えるでしょうか。

堀川:そう思います。低層建築と住宅で構成される郊外の方が、高密度で高層な建物もある都心よりも太陽光発電や燃料電池を計画的に配置しやすく、再エネの利用が進むはずです。地域のカーボンニュートラルが都心に先行すると思います。

 そして、都心部の再開発などで再エネを求められますが、需要密度が大きくニュートラル化しにくいので、地域との連携も必要です。また、BCPが重要なため、天候などに左右される再生可能だけでなく、ガスなどの貯められるエネルギーも必要となります。当面はオフセットした天然ガスでも、将来はメタネーション化されたガスに替わってくれば、カーボンニュートラルでBCPも高まるでしょう。

武田:今後はいかに電源を確保するかも重要な課題となります。デンマークでは廃棄物発電が多く、「ゴミが3kgで明かりを5時間ともすことができる」といったことを子供に訴える教育も行っています。廃棄物がエネルギー源になるという感覚は日本にも定着するでしょうか。

栄:省エネや創エネに取り組む上で重要なのはコストです。廃棄物を収集するのにもコストがかかります。発電はできても「最終的にお金に合わない」と断念することもあります。

 まちづくりと組み合わせながら、コストを下げる上手な仕組みづくりができれば、カーボンニュートラルに向けてまだまだ活用できるものはあると思います。

武田:地域のエネルギーシステムを担う重要な存在が地域新電力です。今年1月の電力逼迫時には多くの新電力会社が経営に大きな影響を受けました。自治体新電力を数多く手掛けるパシフィックパワーは課題をどうとらえていますか。

合津:電力料金の高騰で経営難となり、会社更生法を申請した新電力会社もありました。私たちが手掛ける自治体新電力も多くが赤字に陥りました。唯一、黒字を維持したのは、エスコ事業や太陽光発電事業を手掛けるなど事業を多角化していた会社です。自ら省エネ事業を展開したり、電源を持ったりすることで経営の基盤を固めていくべきだと考えています。

 
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