スペシャルリポート

GX関連新法を見据えた我が国のエネルギー選択
多様な取り組みでトランジション期を乗り越えよ

技術でもビジネスモデルでも勝つ仕組みづくりを

柏木:日本では固定価格買取制度の導入を機に再生可能エネルギービジネスが拡大しました。ただ、太陽光パネルの多くは中国製で、メガソーラーのバックにも中国企業が存在します。太陽光発電を通して日本の富が中国に流れる構図になっています。水素に関しては同じことが起きてはいけません。

髙原:水素・アンモニアで太陽光パネルなどと同様の問題が発生するのをいかに避けるべきか、どういうルールづくりが適切なのかは海外でも議論になっています。

 例えば、電気自動車(EV)に関しては、米国では思い切った関税導入の議論も出ています。これも各国でアプローチが異なるところです。国際協調が必要な領域だと思います。

柿原:「ビジネスモデルで勝たなくてはいけない」という言葉の後ろには、「ビジネスモデルで負けてきた」という背景があると思います。社長の橋本康彦は、「我々には負けた時の教訓がある」とよく言っています。

 川崎重工業ではかつて、液化天然ガス(LNG)運搬船が大きなビジネスになっていました。ところが、欧州諸国に対してライセンス料を払わなくてはいけなかったり、認証のルールづくりの際にディテールまでオープンにしてしまったりしたことで、韓国や中国に市場を席巻され、我々の存在感はすっかりなくなってしまいました。

 今後、我々が水素に取り組む際には、この教訓を活かし、当初から知的財産権、ライセンス、国際標準化などをきちんと握れるように進めていきます。特に技術規格については、オープンにするのかクローズにするのか、きちんと整理しながら選択するつもりです。

柏木:国際協調に関して言えば、今後、海外で製造した合成メタンを輸入する場合のルールづくりなども進める必要があります。合成メタンは燃焼時にはCO2を排出しますが、原料にCO2を使うため、実質的に大気中のCO2は増えません。排出量をどうカウントすべきなのか。欧州などとの連携が必要です。

髙原:合成メタンは既存のタンクや導管を使えるという点で、カーボンニュートラル時代に重要なエネルギーです。測定などのルールづくりはこれからですが、欧米のような先進国はもちろん、潜在的に製造の可能性があるアジア諸国などともしっかりとコミュニケーションを取ることが重要だと思います。

 
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