スペシャルリポート

GX関連新法を見据えた我が国のエネルギー選択
多様な取り組みでトランジション期を乗り越えよ

カーボンプライシングのあり方は国際競争力に影響する

柏木:政府は2050年カーボンニュートラル実現に向け、「GX経済移行債」を発行しました。移行債は「成長志向型カーボンプライシング」によって将来得られる財源で償還する構想です。カーボンプライシングのあり方について、お考えはありますか。

髙原:カーボンプライシングについては、いくつかの方針がGX推進法に記載されています。

 これから経済産業省を中心に議論が進み、形づくられていきます。環境政策、エネルギー政策という側面のほか、国民負担をどう考えるかにもかかわり、いくつものベクトルの中で議論を進めなくてはなりません。

 2023年の先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケで、「various pathways」という言葉が記載されました。様々な、多様な道筋があるということです。これは非常に重要なキーワードだと思います。カーボンプライシングは日本企業の国際競争力にも非常に大きな影響があるものです。実態として、LNGが今も重要なエネルギー源であるということも踏まえ、日本として、いかにクレバーな仕組みをつくるかが問われます。

柿原:川崎重工業は「グループビジョン2030」の中で、「長期借入金に占めるサステナブルファイナンスの割合を2030年度に50%、2050年度に100%」とする目標を掲げています。ファイナンスに関しても多様な選択肢が出てきて、目標を違うレベルで実現する可能性もあるということで、今後の議論の行方を楽しみにしたいと思います。

柏木:先日、国際エネルギー機関(IEA)の幹部が、2050年の乗用車の新車販売のうちEVは3割、7割はエンジン搭載車という見立てを紹介していました。クルマは中古車として販売された後も含めると、15年ぐらいの使用期間があります。インフラを伴うもので、EVや燃料電池車への移行はそう簡単ではありません。

 紆余曲折しながら、多様性が築かれていくように思いますがいかがでしょうか。

髙原:まさに、紆余曲折を恐れないことが重要です。欧州のように、カーボンニュートラルへの確固たる信念を持つ国々の間でも、ロシアのウクライナ侵攻でガス供給が不安定になるとエネルギーセキュリティーがスポットライトを浴びました。国によってアプローチも違えば、ペースも違う。エネルギーセキュリティーも違います。コストの問題もあります。多面的な見方が必要です。

 日本のビジネス界の方々は、日本的な几帳面さとチャレンジ精神で、カーボンニュートラル時代の新たな技術と新たなビジネスモデルを追求していますが、全体のフレームワークができていない今は、まだ試行錯誤が必要な時期だと認識することが大切だと思います。

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