スペシャルリポート

エネルギーの多様化と新しい政策の在り方
多様な取り組みでトランジション期を乗り越えよ

国益を高めるような気候変動対策が必要

柏木:エネルギーは国の安全保障にも関係する問題です。どのような視点が必要でしょうか。

増山:かつて「石油の一滴は血の一滴」というスローガンを掲げたこともあるように、日本はエネルギーの安定供給を求め続けてきた歴史があります。その後、「S+3E(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合)」というエネルギー政策の大原則を掲げ、自給率アップ、多角化、備蓄などを進めてきました。最近では、そこに経済安全保障も統合しています。

 日本は真の安全保障を考えながら世界を見ていかなくてはなりません。重要なのは複合化です。地理的要素も踏まえながら、二重化、三重化、またはそれ以上に、二の手、三の手を打っていく。多様性にも柔軟に対応することが必要です。米国、豪州、中東、中国など広く目を配り考えるべきです。

 再エネの量を確保しようという「再生可能エネルギー第一主義」から「目的に応じたエネルギーの多様化」へと転換を図るべきです。発電、送電、蓄電、用電と、きめ細かくいろいろな機器を使いながら革新を模索することが重要です。コージェネは電気も熱も生み出します。再エネの変動性を補い、エネルギーのレジリエンスを高めることもできる。万能でしたたかなシステムです。こういうしたたかな手を打つことが日本のエネルギー業界には求められていると思います。

柏木:ここで小林鷹之さんがリモートで参加してくださったのでお話を伺いたいと思います。小林さんは、国際動向をどう見ていらっしゃいますか。

小林 鷹之 氏(こばやし・たかゆき)
小林 鷹之 氏(こばやし・たかゆき)
元経済安全保障担当大臣 衆議院議員
1999年東京大学法学部卒業。同年大蔵省(現財務省)入省。2003年ハーバード大学ケネディ行政大学院修了(公共政策学修士)。2005年財務省理財局総務課課長補佐、2007年在米日本国大使館書記官を経て、2012年衆議院議員総選挙に初当選(現在5期)。2016年防衛大臣政務官、2021年経済安全保障担当大臣、内閣府特命担当大臣(科学技術・宇宙)を歴任。2024年総裁選に出馬。現在、衆議院財務金融委員会筆頭理事、自由民主党経済安全保障推進本部長、同日・グローバルサウス連携本部長等を務める。著書に『宇宙ビジネス新時代! 解説「宇宙資源法」』(共著、第一法規)、『世界をリードする国へ』(PHP研究所)がある。

小林鷹之氏(以下敬称略):私も世界がカーボンニュートラルに向けた動き、CO2を削減しようという取り組みの方向性にあるとは見ています。しかし、私は日本の国力を高め、世界の中心に位置する国にしたいと思っていますので、国益と国際益があるとすると、気候変動対策は国際益にかなうものですが、外交努力で国益と国際益をオーバーラップするように持っていくべきと考えます。

 各国とも、置かれた状況が異なる中でエネルギー政策を打ち出しています。「他の国がやっている」「世界のルールがこうなっている」という理由で日本がただ追随するというのは良くありません。例えば、イギリスは日本と同じ島国ですが、ドーバー海峡を隔てた海の向こう側に同志国がたくさん存在し、フランスの原子力などともグリッドでつなぎ安定供給を確保できます。日本の場合、海の向こう側の国々とグリッドをつなぎ協力し合うというのは、少なくとも今の段階では現実的ではありません。

 エネルギー政策は現実主義に立脚し、戦略的に考えるべきです。その点、第7次エネルギー基本計画が、現実に根差した形で第6次から修正されたのは一定の評価ができます。大事なのは電源バランスです。再エネも原子力も火力も必要です。火力もLNGだけでなく石炭も必要だと思います。

 2050年カーボンニュートラルを目指すとしても、そこに至るまでのパスは国益にかなう、つまり日本企業の競争力を高めるような道行きにすべきです。私は脱炭素という言葉にも違和感を覚えます。「低」炭素、「減」炭素を目指すべきです。

 
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