スペシャルリポート

[コージェネシンポジウム2017レビュー4]
パネルディスカッション
日本の都市・産業の競争力向上に向けて
~コージェネレーションが果たす役割~

田町のプロジェクトは省エネ40%を実現

柏木:省エネ法ではガスエンジンコージェネの排熱を未利用エネルギーとしてカウントしてよいことになっています。これも新築時にコージェネを核としたエネルギーシステムが広がる力となりそうです。東京ガスも先進的なスマートエネルギーネットワーク構築に取り組んでいますね。

波岡 滋(なみおか しげる)氏
波岡 滋(なみおか しげる)氏
清水建設専務執行役員 技術担当、安全環境担当、ものづくり担当、CSR担当、新規事業推進担当
1980年東京工業大学大学院理工学研究科建築学専攻修了。同年清水建設に入社。2007年執行役員建築事業本部東京建築第一事業部長、09年執行役員北海道支店長、10年執行役員九州支店長、12年執行役員名古屋支店長を歴任。13年常務執行役員名古屋支店長、14年常務執行役員新規事業推進統括、ecoBCP事業推進室担当、自然共生事業推進室担当、新事業推進室担当を経て15年専務執行役員技術担当、CSR担当、新規事業推進統括に。16年より現職。

安岡省氏(以下敬称略):災害に対する備えはもちろん、長期的なエネルギー需給や温暖化、都市再生といった問題に対応するためにも自立分散電源とエネルギーの面的利用が不可欠だと考え、取り組みを進めています。

 東京の田町駅東口北地区は二つの街区で構成されています。一つめの街区では区の総合支所や児童福祉施設など区の施設、病院を結びエネルギーを融通しています。スタートして1年半たちますが省エネ率40%を実現しています。今、ホテル棟や事務棟を抱える二つめの街区を建設中。将来的には1街区と2街区を連携し効率よく運用するのが目標です。

 日本橋室町地区では三井不動産様が進める既存街区の再開発でコージェネを核としたスマートエネルギーネットワークを構築しCO2排出量を削減しようとしています。新築ビルのみならず既築ビルにも電気と熱の融通をするのがポイントです。トータルでCO2を30%削減しようという計画です。従来のまちづくりではインフラ建設が先行し、その後に建物を建てることが多かったのですが、今回のようなプロジェクトが可能となれば大都市圏でもまだまだできることは増えます。

柏木:今では規模の大きな新築物件の多くがコージェネを導入するようになりました。けれどせっかく電気、熱を面的に融通するといっても、それが新築の建物だけで閉じてしまうのでは発展性がありません。今後、既築の建物にいかに広げていくかというのは重要な課題ですね。コージェネ導入を推進するメーカーという立場の三菱重工エンジン&ターボチャージャはレジリエンス、BCPに対してどのような取り組みをしていますか。

花沢芳之氏(以下敬称略):清水建設さん、東京ガスさんのスマートコミュニティ構築には私たちもメーカーとしての立場で参画し、製品を納入しています。ただレジリエンス性やBCP性の強化というのはあくまでもユーザーの立場からの視点です。メーカーである我々がすべきことは市場トレンドに沿った高効率ガスエンジンコージェネを供給することであり、適切なエネルギーソリューションで顧客を支援することだと考えています。

 この20年間で当社の1~2MW級ガスエンジンコージェネの発電効率は34.5%から42.3%へと大きく改善しました。さらなる向上を目指し開発を続けています。また、相模原製作所にはIoT(モノのインターネット)を活用した遠隔監視の設備を設置。400台以上の顧客のエンジンを24時間体制で監視するサービスを行っています。事前にシステムのトラブルを回避することがメーカーとしての務めだと考えています。

 
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