柏木:コージェネや自然エネルギーなど地域エネルギーを取り込んだコンパクトなスマートコミュニティの形成が日本の都市力、産業力の向上につながることはわかりました。問題はこうしたエネルギーシステムをベースとするスマートコミュニティづくりを誰が主導するかです。
例えば東京ガスが構築にかかわったスマートエネルギーシステムは誰が旗振り役となりましたか。
安岡:ケースによって全く違います。工業団地の場合は自治体の先導が重要です。日本橋室町の場合は三井不動産様が主体的に動いていました。三井グループの関連の建物も、そうでないところもありましたが、ふだんからのお付き合いもあるのでしょう。周囲から信頼を得てリーダーになり得る自治体や企業などがまずエリアの合意を形成することが重要です。残る技術や資金調達の問題は後からそれぞれの専門家が担当することになるでしょう。

柏木 孝夫(かしわぎ たかお)氏
コージェネ財団 理事長
東京工業大学 特命教授/名誉教授
1946年東京都出身。70年東京工業大学工学部生産機械工学科卒業。79年博士号取得。80~81年米商務省NBS招聘研究員、88年東京農工大学工学部教授などを経て2007年東京工業大学大学院教授に就任。11年からコージェネレーション・エネルギー高度利用センター(コージェネ財団)理事長を務める。12年東京工業大学特命教授に。専門はエネルギー・環境システム。03年日本エネルギー学会学会賞(学術部門)、08年文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)など受賞多数。経済産業省総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会長、同調査会総合部会委員等でも活躍。著書に「スマート革命」「エネルギー革命」「コージェネ革命」など。
柏木:地域でコージェネを効果的に運用するには熱導管の敷設などインフラ整備が不可欠です。熱導管と同時に電力の自営線や通信用の光ファイバーも敷設して「パイプ&ワイヤー&ファイバー」にすれば民間投資が活発になり、病院、介護施設、保育施設、植物工場など多様な施設が集まります。まちづくりに主体的に関わる存在として自治体の役割は大きいですね。
安岡:非常に大きいと思います。地元にはまとめ役が見当たらない、国では遠すぎる、という時に一番いいのが自治体です。
野田:ただ残念ながら、多くの自治体は強靱なエネルギーネットワークシステムを構築する重要性に、まだ気づいていません。そもそもエネルギーの問題を「自分たちがやるべきもの」という意識が希薄なのです。自治体が運営している水、交通、ゴミ処理などに関しては知見もあるし問題意識も持っていますが、エネルギーはそうではありません。
地域の中で分散型のエネルギーシステムを確立していくことが長期的に都市の競争力向上にも深く関わるものだという認識から浸透させていかなくてはならないと思います。