スペシャルリポート

[コージェネシンポジウム2017レビュー4]
パネルディスカッション
日本の都市・産業の競争力向上に向けて
~コージェネレーションが果たす役割~

ゼネコンもメーカーもストック市場に移行

柏木:コージェネのような機器、設備に関しては、いかに建物や地域と一体的に開発を進めるかがカギとなります。建築の世界では機器や設備は後回しに考えられる傾向がありました。波岡さん、そういう認識は変化してきているでしょうか。

波岡:かつては、機器や設備は建物に付随するものという認識があったのは確かです。けれど今は違います。人体にたとえて考えれば、どんなに骨格・筋肉がしっかりしていても、血の流れが悪ければ健康体とはいえません。快適性、健康性、レジリエンス性、BCP性など、色々な面で機器や設備の重要性が増しています。機器・設備の特色を生かした建物、街区、エリアをつくるという方向に意識は変わりつつあります。

 それに伴い、ビジネスモデルにも変化が生まれています。従来、機器や設備は顧客が所有するものでした。けれど今、我々は一歩踏み込んで機器・設備を持とうとしています。後からその機器・設備のマネジメントを担うことで導入コストを回収するというモデルです。顧客にもイニシャルコストが下がるメリットがあります。

花沢 芳之(はなさわ よしゆき)氏
花沢 芳之(はなさわ よしゆき)氏
三菱重工エンジン&ターボチャージャ代表取締役社長
1980年慶応義塾大学法学部政治学科卒業。同年三菱重工業に入社。2010年長崎造船所機械営業部長、11年原動機事業本部長崎原動機営業部長、12年エンジニアリング本部営業総括部長崎原動機営業部長を歴任。同年Mitsubishi Power System Europe Chief Executive Officer(CEO)、同年欧州三菱重工CEO兼務。14年Mitsubishi Hitachi Power Systems Europe CEOに就任。15年三菱重工業エネルギー・環境ドメイン副ドメイン長、16年執行役員エネルギー・環境ドメイン副ドメイン長に。同年三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス常務取締役兼三菱重工エンジン&ターボチャージャ代表取締役社長兼三菱重工業相模原製作所長に就任。

柏木:今までフロー市場でビジネスをしていたゼネコンがストック市場に入っていくということですね。先ほど花沢さんも顧客へのエネルギーソリューションに力を注ぐという話をされていました。デマンドサイドでデジタル革命が起きている今、メーカーも機器を納入後、ゼネコンやガス会社とともにエネルギーサービスの一部を担いながらストック市場で活躍することが可能ですね。どんなビジネススキームを思い描いていますか。

花沢:顧客のニーズ次第でどのようにも対応するつもりです。相模原の遠隔監視システムは現在、状態監視および予兆診断に使っていますが、技術の発展とともに制御まで担っていきたい。将来的にはデマンドレスポンス、バーチャルパワープラントの領域にもビジネスを広げていくつもりです。

 発送電が分離した後には顧客の発電設備をつないで遠隔操作しネガワット市場でも活躍できる存在になりたいと考えています。休止している発電設備を立ち上げて収入を得たいけれど自分たちでは手をかけたくないという顧客に対しては私たちがその代行をするなどメニューを幅広く用意しようと思っています。

 
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