スペシャルリポート

自治体・企業にとってのSDGs
~特に地域エネルギー事業の観点から~
統合的取り組みで“三方よし”のシステム構築を

人口減少に直面する地方、SDGsで自律的好循環の構築を

 SDGsは地方創生にも貢献できる枠組みです。地方が今、抱える最大の課題は人口減少。都道府県別の人口推計値を見ると、2045年に現状維持が可能なのは東京都と沖縄県だけで、残りの道府県はすべて減少する予想となっています。

 人口減少はまちづくりに大きな影響を及ぼします。エネルギー、上下水道、交通、医療などの分野で需要が減り、財源が維持できず、事業者の設備投資・老朽化更新の意欲が低下します。地域から産業が流出し、地場の金融機関の存続も困難になります。これらの問題は近々起きると指摘されています。

 政府はこうした地方の課題に取り組むため、2014年に「まち・ひと・しごと創生法」を施行しました。「しごと」をつくれば「ひと」が集まり、「まち」が活性化するという発想です。しかし、「まち」に魅力がなければ「ひと」も「しごと」も去ってしまいます。

 そこで地方が取り込むべきなのがSDGsです。SDGsの経済・社会・環境への統合的な取り組みによって自律的好循環を生み出せば、「まち」の魅力は高まります。自治体や企業がSDGsに取り組むことには様々な意義があります。自治体・企業は経済・社会・環境面で多くの課題に直面しています。新たな切り口でそれらの課題に取り組む必要がありますが、SDGsは課題発掘・解決に効果があります。

 CSR(企業の社会的責任)、CSV(共有価値の創造)といった社会規範が浸透する中、それを全面的に支援する理念であるSDGsに取り組むことは、社会的存在としての自治体や企業の位置づけを明確にします。

 投資・金融市場ではESG(環境・社会・ガバナンス)投資やSDGs投資、PRI(責任投資原則)が進展するなど、非財務的な価値を重視する傾向が強まっています。SDGsは今や世界の共通言語であり、参加しないリスクの方が大きいといえます。

 加えて、SDGsに関連するビジネスチャンスと市場規模は極めて大きいと考えられています。「WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)」はSDGsへの取り組みが世界にもたらす経済効果は年間12兆ドルに及び、3.8億人の雇用を創出するという数字を発表しています。

 政府は様々なメリットが期待できるSDGsへの取り組みを促すため、2018年から「SDGs未来都市」のプログラムを推進しています。SDGs達成に向け優れた取り組みを提案する29都市を「SDGs未来都市」に選定。特に先導的な10事業を「自治体SDGsモデル事業」として選定しました。選定した都市の取り組みや事業はベストプラクティスとして全国に波及させる考えです。政府は「SDGs未来都市」のプログラムを3年間続け、全自治体の30%にSDGsを導入することを目指しています。全国の自治体数は約1740。SDGsへの取り組みによって、500超の自治体に自律的好循環が生まれれば、地方創生は大きく前進するはずです。

持続可能な開発目標(SDGs)

持続可能な開発目標(SDGs)
 

 
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