まちづくりの中核となる地域エネルギー事業についても、SDGsの理念に基づき統合的取り組みを推進することで、パラダイムシフトを起こしてほしいと思います。パラダイムシフトを起こす原動力となるのはシナジー効果、コベネフィットです。
スウェーデンの研究者はSDGsに関して「ウェディングケーキ」と呼ばれるモデルを提案しています。17のゴールを経済・社会・環境の3つの層に分類して示したもので、一番下の基盤が環境(生物圏)レイヤー、その上が社会レイヤー、一番上が経済レイヤーという構造です。(図2)

図2 地域エネルギー事業に向けたSDGsの構造化(SDGsウェディングケーキ)
地域エネルギー事業を推進する際も、このモデルを当てはめて考えるのが良いと思います。「SDGsウェディングケーキ」の中で、エネルギーというゴールは社会レイヤーに含まれます。社会インフラとしての地域エネルギーシステムの構築が求められます。
環境レイヤーは生存基盤で経済レイヤーは環境対策費用を支える基盤。経済・社会・環境はどれが欠けても成り立ちません。地域エネルギー事業に関しても3者の連携が不可欠という意識を持って進める必要があります。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は2014年に発表した「第5次評価報告書」で、省CO2などの環境対策が雇用創出、エネルギーセキュリティー、生産性向上、建物の資産価値向上、エネルギー助成の軽減など、経済面のコベネフィットも生み出すことを指摘しました。
「パリ協定」にも、「温暖化抑制のための行動が、社会・経済・環境面からの価値を提供する。適応力や健康および持続可能な発展のコベネフィットをもたらすことを認識する」と書かれています。
地域エネルギー計画は環境計画(サステナビリティ)、社会計画(レジリエンス)、経済計画(スマートネス)という3つの枠組みで構成されます。これらの3つの枠組みに統合的に取り組む場合、環境面では低炭素化、資源・生態系の保全など、社会面では災害対応力強化、健康被害防止など、経済面では地域経済の活性化、原燃料の価格変動リスク軽減など多様なコベネフィットをもたらします。これらは、コージェネレーション(熱電併給)が提供する価値とも一致するものです。(図3)

図3 環境/社会/経済の枠組みにおける地域エネルギー計画のコベネフィット