スペシャルリポート

ゼロエミッションビジネスへの展望
~日本の取るべき道~
システム・オブ・システムズを確立し世界に発信

イノベーション戦略にいかに貢献するか

柏木:EUタクソノミーの波及により、企業が環境で格付けまでされる時代、日本はどのような方向に進むべきなのでしょうか。

金花:先日、柏木理事長も策定にかかわられた「革新的環境イノベーション戦略」を拝見しました。エネルギー環境分野の技術やイノベーションについて網羅され、非常によくできた戦略だと感じました。

 特に興味を持ったのは農林水産分野でのゼロエミッションにも言及していることです。戦略に盛り込まれた技術やイノベーションに、当社がいかに貢献していけるかが今後のカギだと感じました。

柏木:政府が2020年1月に発表した革新的環境イノベーション戦略は、5分野・16課題・39テーマを設定し、世界のカーボンニュートラルと、過去に排出された大気中のCO2をも削減する「ビヨンド・ゼロ」を達成する革新的技術を50年までに確立しようという、非常に野心的な戦略です。技術の切り口では「非化石エネルギー」「エネルギーネットワーク」「水素」「カーボンリサイクル・CCUS」「ゼロエミ農林水産業」の5つを重点領域と設定しています。この革新的環境イノベーション戦略を14の重点分野にまとめ直したのが昨年策定されたグリーン成長戦略です。

 また、この革新的環境イノベーション戦略の提言に基づき、産業技術総合研究所が主導し、東京湾岸エリアを世界に先駆けてゼロエミッションに関するイノベーションエリアに進化させる「東京湾岸ゼロエミッションイノベーションエリア」構想も進んでいます。この構想を推進する東京湾岸ゼロエミッションイノベーション協議会も立ち上がっています。

引頭:革新的環境イノベーション戦略には、実に多方面に及ぶ多様な技術やイノベーションが盛り込まれています。様々な企業が集い、知恵を合わせなくては実現は難しいと思います。その意味で東京湾岸ゼロエミッションイノベーション協議会には今後の展開が期待できます。

 国は今、いろいろなマップを描いています。企業にアジャイルが必要であるように、国もアジャイルでなくてはなりません。特定の技術やイノベーションに補助金などの支援制度を設けたとしても、新たにより有望なものが出てきた時にはすぐにそちらもサポートする懐の深さが国にも求められます。

 日本は資源・エネルギーの輸入国。エネルギー安全保障の観点からすると不安定な位置にあります。今、国を挙げてゼロエミッションに向かう中、様々な開発が進み、自前のエネルギー源や仕組みを生み出すことができれば、大きな一歩になります。

柏木:おっしゃる通り、ゼロエミッションは1つのテクノロジー、1社のテクノロジーで実現できるものではありません。必要なのはシステム・オブ・システムズ。これまでの日本はそこが弱かった面があります。企業群が一体となってシステム・オブ・システムズを展開することこそ、日本がアジアの中、世界の中で勝ち残る必須の条件だと思います。

[コージェネシンポジウム2021レビュー3]鼎談

 
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