柏木:米国は気候変動対策に4年間で2兆ドルを投資します。これにはインフラ整備も含まれています。インフラあってのエネルギーシステムであると考えると、日本のグリーンイノベーション基金の2兆円は少ないと感じます。例えば小ぶりな水素のネットワークの中で家庭用燃料電池「エネファーム」が普及すれば非常に効率的にエネルギーを活用できます。タワーマンションなどでエネルギーをやりとりすれば、収入が得られる家も出てきます。
田中:パイプラインで水素ガスを送りエネファームで利用するというのはとても合理的な方法です。電力グリッドに加えたデュアルなネットワークになるのでエネルギー安全保障上もとてもいいと思います。
柏木:最後に、カーボンニュートラルへのトランジションで日本は何が必要か、一言ずつお願いします。
中山:日本には資源はありませんが技術は色々と持っています。トランジションを乗り切るには、この技術オプションを全部使い切ることが必要です。それを支援するような仕組みづくりも重要だと思います。
田中:私が議長を務めるICEFは「女性が活躍することが重要」というメッセージを打ち出しています。女性が活躍する企業は地球に優しいという相関関係があります。地球に優しい政策やビジネスモデルをつくるカギは女性の活躍です。取締役や幹部の女性割合が3割ぐらいに上昇すれば世界は変わると期待しています。
柏木:EUはEUタクソノミーをつくり、世界で4000兆円に上ると言われるESG投資の資金を域内に振り向けようとしています。また、その資金を旧属国が多く自然エネルギーの宝庫でもあるアフリカ大陸に投じようとしています。同時にEUタクソノミーの基準に適合するか否かを審査する認証機関も設置し、脱炭素に向けた世界のリーダーとしての覇権を狙っています。環境問題をきっかけに、それぞれの国・地域が国情、域情に応じて国益や域益をかけた戦略を講じています。
日本ももっと上手に戦略を立てていくことが必要です。脱炭素に受けたトランジションでは日本の技術力の強みを活かし、アジアと一体となり、水素の利用やメタネーションなどの合成燃料、CCUSを進めるWin‐Winモデルをつくり上げるべきだと思います。それが新たな燃料の輸出国となって日本が成長・発展する道であり、世界への貢献にもつながると確信しています。
