スペシャルリポート

新しい資本主義と日本のエネルギー戦略
デジタル田園都市構想実現にコージェネが貢献

「EUタクソノミー」は現実的な移行を考慮

柏木:EUは持続可能な経済活動を分類する「EUタクソノミー」の策定に動いています。当初はCO2を排出するものは全部ダメというスタンスでしたが、最近は天然ガスや原子力を脱炭素化に必要な発電技術と分類するなど、現実的なトランジションを考慮する流れです。どう見ていますか。

吉田:サステナブルやクリーンの基準や定義を厳格に設定しすぎると、将来的な新しいエネルギーの発展の可能性を狭めてしまうリスクがあります。水素や非バイオ由来の再生燃料など、これから需要を生み出し、産業として拡大する必要があります。アジアなど新興国にとっても理解しやすく、受け入れやすいルールや規制にすべきです。シェルも企業として様々な提案をしています。

佐々木 一成(ささき・かずなり)氏
佐々木 一成(ささき・かずなり)氏
九州大学副学長・主幹教授
水素エネルギー国際研究センター長
1965年京都生まれ。1987年東京工業大学工学部卒、1989年同大学院修士課程修了。1993年スイス連邦工科大学チューリッヒ校工学博士号取得。独マックスプランク固体研究所を経て10年間の在欧後、1999年九州大学・助教授、2005年教授、2011年主幹教授に就任。現在、九州大学副学長(産学官連携、エネルギー研究教育機構担当)、水素エネルギー国際研究センター長、次世代燃料電池産学連携研究センター長を務める。主に、燃料電池の材料・プロセス研究に従事。水素関連などの産学官地域連携を進め、九大「水素プロジェクト」を先導。

佐々木一成氏(以下敬称略):10年間スイス、ドイツに住んでいた時に肌で感じましたが、欧州の方たちは一神教的に「これは良い」「これはダメ」と明確に分けようとする傾向があります。仏教も神道も受け入れる日本などアジアとは価値観が異なります。日本はアジアの代表として、欧州が偏った方向に進まないように主張したり、技術の裏付けを見せたりすることが必要です。

山下:EUタクソノミーはこれから持続可能な経済活動を分類する際の閾値の議論を進めるところです。我先にとルール作りをする欧州に対し、日本はどうしても遅れがちですが、欧州以外に仲間を募り、ルール作りを先導することも大事だと思います。

 特に水素とアンモニアは日本がこれまでリードしてきた分野です。クリーン水素について狭い定義で限定されることがないよう、産官学が一致団結して取り組むべきです。次世代を巻き込み、国際交渉力の高い若く元気な方も参画していただきたいと思います。

柏木:アジアの国々と連携し、トランジションに関してのアジア版タクソノミーづくりを先導することも日本の重要な役割ですね。それをEUタクソノミーとうまく融合できれば、成長するアジアも取り込み、ともに脱炭素社会を目指すことができます。

 
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