スペシャルリポート

新しい資本主義と日本のエネルギー戦略
デジタル田園都市構想実現にコージェネが貢献

ランニングコストの補助が水素普及のカギ

柏木:政府は2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)にGI基金を創設し、企業に対し10年間で2兆円の支援を行う方針です。技術的な見地から、この政策をどう評価しますか。

佐々木:政府は重点14分野をピックアップし、企業はGI基金で2030年までに社会実装するような技術開発に、経営陣がコミットして腰を据えて取り組んでいます。企業がコミットしにくいような、革新技術の開発はNEDOの当初予算の中で支援する形です。2本立てで技術開発を加速させるというのは良い取り組みだと思います。

 私が委員長を務める総合資源エネルギー調査会水素政策小委員会などでは、技術を社会実装するための官民の支援についても議論を進めています。技術開発で勝ち、ビジネスでも勝てると、日本が世界でイニシアティブを取れる技術を確立できると期待しています。

柏木:新しい技術に対する政府支援というと、日本はイニシャルコストが対象ですが、EUではランニングコストへの補助が主流です。例えばドイツはアフリカなどと提携し、グリーン水素を生産・輸入するプロジェクトを推進しています。取引仲介機関が供給事業者から10年契約で水素全量を固定価格で購入し、ユーザー企業への販売価格との差額を政府が補填します。水素価格を天然ガスと同じぐらいの値段にして広めようという発想です。

吉田:水素に関しては、市場が立ち上がったばかりの段階の生産コストと、持続可能なエネルギー源として定着した段階での生産コストとでは確実に値差があります。政府にはその値差を補完するような役割が求められます。全体像はまだ見えていませんが、そうした支援制度ができることを期待しています。

 佐々木さんの基調講演で、鉄鋼業での水素利用は石炭と同等の1立方メートル8円がターゲットになるというお話がありました。

 供給事業者にとっては投資が難しくなるレベルですが、それでは当該セクターにおける水素の導入が進みませんので、まずは政府として初期投資をサポートし、投資を促していくと理解しています。

佐々木:水素政策小委員会でも、販売価格が供給コストを下回り、かつ販売量も少ないというリスクを軽減し、事業の予見性・安定性を確保する長期契約の仕組みが必要という議論になっています。策定中のクリーンエネルギー戦略に、その考え方が盛り込まれています。

 固定価格には国民からの批判もあり、変動価格では事業の予見性・安定性が担保できません。両方のいいとこ取りをする必要があります。水素は日本が世界をリードしてきた分野ですから、他国の先を行くような良い制度を提案するのも日本の役割ではないかと思います。

 
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